すべるドイツ

では早速答えを。

前ページの【写真3】はフランス・パリの地下鉄1号線【写真7】の内部である。開通を1900年にまでさかのぼる西ヨーロッパ最古の地下鉄でありながら、現在はアルストム製「MP05型」車両による完全自動運転が行われている。写真のシーンも完全自動運転だ。

ちなみにMPとは「métro pneu(ゴムタイヤ式地下鉄)」の意味で、タイヤには伝統的にミシュラン製が用いられているのは、フランス車ファンならご存じのとおりだ。

内装は数種あるが、これは最も華やかなものである。カラフルでありながら下品になっていないのが秀逸である。

【写真4】はイタリア・フィレンツェの市電【写真8】だ。製造したアンサルド・ブレラは2015年に日立製作所によって買収され、日立レール・イタリアとなった。魔法のロープのような車内ポールは見た目のインパクトだけでなく、より多くの乗客があらゆる角度からつかみやすいようになっている。

【写真5】は、ドイツ・ベルリンのもの。Sバーンこと都市高速鉄道網のS5号線である【写真9】。前述のパリ地下鉄1号線やフィレンツェ市電のように、床面近くの見通しの良さや清掃のしやすさに優れたカンチレバー式のシートは採用していないが、逆に質実剛健な雰囲気にあふれている。残念なのはポップな柄のシート地にしようとしていることが、かえって“すべって”いるように感じられてしまうことだ。これは、メルセデス・ベンツの一部路線バスにみられるのと同じだ。

【写真6】は上海地下鉄2号線である。虹橋と浦東という2つの空港を結ぶ、東京で言うところの「京急-京成エアポート快特」のような電車だ。

上海の地下鉄は、ミラノなどでもみられるように座面がプラスチックである。もちろん、座ったときは布地シートよりもやや冷たい。しかし、衛生面や補修・清掃のコストを考えた場合、日本でも検討すべきだと筆者は常々信じている。

それでは、次の【写真10】から【写真13】も、どの国の鉄道か推理していただこう。

【写真7】パリ地下鉄1号線は完全自動運転である。バスティーユ駅で。
【写真7】パリ地下鉄1号線は完全自動運転である。バスティーユ駅で。拡大
【写真8】フィレンツェ地下鉄。空港駅にて。
【写真8】フィレンツェ地下鉄。空港駅にて。拡大
【写真9】ベルリンのSバーン駅。
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【写真10】知的かつ清潔感あるデザイン。
【写真10】知的かつ清潔感あるデザイン。拡大
【写真11】クオリティー感が漂う。
【写真11】クオリティー感が漂う。拡大
【写真12】いつ乗っても水色のカバーが。
【写真12】いつ乗っても水色のカバーが。拡大
【写真13】見つめれば、何かが見えてくる?
【写真13】見つめれば、何かが見えてくる?拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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