めくりたい衝動

再び答えを。

【写真10】は英国ロンドン・パディントン駅とヒースロー空港を結ぶ「ヒースロー・コネクト」の車内である。「ヒースロー・エクスプレス」と違ってパディントン-空港間に途中停車駅があるためやや遅いが、その代わりに格安だ。

シートはヘッドレストの左右を最小限にすることで、車内全体の圧迫感を軽減している。テキスタイルも流行に左右されないデザインといえる。

【写真11】は、イタリア版新幹線「イタロ」【写真14】のビジネスクラスだ。内装はジウジアーロ・デザインによるもので、全クラスがポルトローナ・フラウの革シートである。

惜しいのは、まるで“あやとり”のようなシートポケットで、雑誌以外ほとんどのものが間をすり抜けて落下してしまうところだ。

【写真12】は、上海リニアモーターカー【写真15】の2等車である。地元では「磁浮(ツーフー)」と呼ばれている。2004年の運行開始以来、2019年で15年が経過したが、いまだにシートカバーがかぶせられている。新車を買ったその日にシートカバーを掛け、下取りに出す日まで外さなかった亡父をどこか思い出す。

その下にはどのようなオリジナルのシート地があるのか、乗るたびにめくってみたい衝動に駆られる。だが、乗車時間がたった8分ほどなので、実行に移す暇がない。それより、この国における不審な行動は、ちょっと面倒なことになりそうだ。

【写真13】は、ベルリン地下鉄U6号線【写真16】の車内である。前述のSバーンに続いて、ドイツがやってくれた。筆者としては過去最高に「ファンキーなシート柄」に感じる。凝視していると文字か数字が見えてくるのではないかと試すうちに、降車駅に到着してしまった。

【写真14】イタリア半島を縦断する特急「イタロ」。
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【写真15】上海リニアモーターカー
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【写真16】ベルリン地下鉄U6号線。コーホシュトラーセ駅で。
【写真16】ベルリン地下鉄U6号線。コーホシュトラーセ駅で。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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