FCVの今後がかかっている

「水素を使う燃料電池車のインフラ運用を考えると、ある程度、台数を出していく必要があるんです。いまの台数では、全然ダメなんです。10倍のオーダーで増やしていかないと」

10倍ですか!?
「いや、関連するほかのメーカーの方は『100倍は欲しい』っておっしゃるかもしれませんけど」

ミライがデビューした当初の生産台数は、年間700台(日本国内は400台)。少数ゆえにテレビCMもうたなかったのに、生産キャパシティーは早々にオーバーし、納車3年待ちという状況になってしまった。

「供給能力がないのが問題でした。だから、それほど大きな広がりにならなかった。確かにその後、すぐに目標台数は増えたし、実際に生産台数も増えましたが、3000台でいっぱいいっぱいです。もう、ユニットのつくり方を根本から変えていかないとたくさんつくれるクルマにならないんです」

根本的な生産能力を改善するというのが、新型開発の最大の根拠というわけだ。しかしそれなら、こういうスポーツクーペ的なキャラクターでいいのだろうか? 世の中的には、箱っぽい、実用的なクルマのほうが数字を取れるような気がするが……。

「そこは自分の中ではクリアなんです。台数を増やす、ケタを増やすといっても、現時点では数十万台規模のオーダーは前提にしていませんから、SUVも含めて潜在的なユーザーが多いところに行かなくていい。今回は、乗り味で『いままでなかった』と言われる“別格のクルマ”を目指しています。この走りはミニバンでは実現できない。マニアックなクルマ好きではない、一般的なドライバーが飛ばさずに乗っても、思わず笑顔になる。それくらい違うんです」

もちろん、これはSUVやミニバンのFCVを否定するものではなく、今後台数が必要になれば派生モデルが増える可能性もあるという。田中さん、FCVの未来は明るいでしょうか?

「わかりません(笑)。この新型がどれだけ注目していただけるかですね。フルスイングでやってきましたから。これでダメだったら厳しいかもしれませんね。2代目へとフルモデルチェンジして、本当に皆さんに欲しいと思っていただけるクルマになるかならないか。それが、ミライ(に代表されるFCV)が飛躍するかどうかの分水嶺(れい)になると考えてます」

(文と写真と編集=関 顕也)

ルーフは後方に向かってなだらかな曲線を描く。真一文字のリアコンビランプも特徴的。
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本革仕立てのインテリア。コックピット周辺には大型の液晶パネルが並ぶ。
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ホイールベースは初代に比べて140mm延長。後席の定員は現行型の2人から3人へと増やされた。
ホイールベースは初代に比べて140mm延長。後席の定員は現行型の2人から3人へと増やされた。拡大
エモーショナルなデザインと走りが追求された2代目「ミライ」。水素エネルギー社会の実現をけん引するクルマとなることが期待されている。
エモーショナルなデザインと走りが追求された2代目「ミライ」。水素エネルギー社会の実現をけん引するクルマとなることが期待されている。拡大
トヨタ ミライ の中古車
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