開放感と堅牢性を両立したクーペ・カブリオレ

同じ2001年に、もっと安価なモデルもデビューした。「プジョー206」に追加された「CC」で、まさにクーペ・カブリオレのイニシャルを車名としている。日本では275万円という価格も功を奏し、割り当てられた700台があっという間に売り切れるほどの人気となった。これをSLKの廉価版だと考えるのは間違いだ。むしろ、こちらのほうが元祖である。

そもそもクーペ・カブリオレを発明したのはフランス人であり、自動車デザイナーのジョルジュ・ポーランが自動格納式のルーフを考案して特許を取得したのに端を発する。プジョーはこの機構に興味を示し、1934年に「601」「401」「301」に採用してニューモデルとして発表した。これらのモデルは、「エクリプス」と名付けられている。日食を意味する言葉で、光をさえぎる仕組みを象徴的に表現したものだ。

画期的なアイデアだったが、この格納式ルーフは普及しなかった。こうしたオープンカーは、セダンやクーペと比べてボディー剛性を確保するのが難しく、補強のために重量が増加してしまう。格納式ルーフは複雑な機構を持ち、さらに重くならざるを得ない。オープン時にはルーフはトランクに収めることになり、収納スペースが奪われる。十分な実用性を備えたモデルとなったのは、メルセデス・ベンツSLKが初めてだった。

2002年には、電動式ルーフを備えた軽自動車の「ダイハツ・コペン」が登場した。プジョーとメルセデスはクーペ・カブリオレのモデルをその後も製造しており、ルノー、BMW、フェラーリなど多くの自動車メーカーがこのタイプのオープンカーをラインナップに加えている。マツダは2015年5月に4代目となるロードスターを発売し、好調に販売台数を伸ばしている。オープンエアモータリングは、今もクルマの楽しさのエッセンスであり続けているのだ。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛)

「プジョー206CC」は、Bセグメントコンパクト「206」に設定された4座のオープントップモデルである。
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世界で初めてリトラクタブルハードトップを採用したのはプジョーとされている。写真は1934年に登場した「301エクリプス」。
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1992年に登場した「ホンダCR-Xデルソル」にもスライド式の電動ハードトップが採用されていたが、市場には受け入れられなかった。
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世界で最も生産された2人乗りの小型オープンスポーツカーとして、ギネスブックに認定されている「マツダ・ロードスター」にも、今日ではリトラクタブルハードトップのモデルが設定されている。
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