珍スポットに 地下鉄の面白事象に

紹介するスポットについては、従来のガイドブックでは取り上げられない、もしくは後回しにされがちな場所をあえて選択してみた。厳重なセキュリティーチェックののちに入場するパリ警察博物館や墓標にキスマークが残るセルジュ・ゲンズブールの墓といった場所は、その一例である。

もちろん地下鉄に乗るからには、電車や駅にまつわる、さまざまな話題にも触れている。

2019年現在、パリ地下鉄は1号線および14号線で完全自動運転が行われている。後者の14号線は最も新しい路線で、「流星」を意味する「メテオール」の愛称をもつ。「METro Est-Ouest Rapide(東西高速鉄道)」にかけたものだ。

運転席がない最前列には、計器盤を模したステッカーが貼られている。利用客のアイデアを実現したものだ。いい年になっても運転士気分に浸りたい筆者は、近くに陣取るパリの子供たちに向かって、何度心の中で「早く降りろ!」と念じたことか。

いっぽう今日も一部の駅ホームで、壁に貼り付くように設置された小さな小屋は、かつてホームの安全を守るための駅員用施設が放置されたものだ。駅によっては、地元の学校の絵画展示などに使われているのが泣かせる。

さらに、パリ地下鉄の駅名表示版などを模したグッズを売る店にも訪れて紹介した。掲載タイミングの関係で本では紹介できなかったが、店では路線図をプリントした男性用ボクサー下着まで販売している。

セルジュ・ゲンズブールの墓も訪れた。妖艶ボイスがそのまま入った『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』をこっそり聴いていた高校時代を思い出す。
セルジュ・ゲンズブールの墓も訪れた。妖艶ボイスがそのまま入った『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』をこっそり聴いていた高校時代を思い出す。拡大
地下鉄14号線の一部車両の最前および最後部には、計器盤を模したステッカーが。
地下鉄14号線の一部車両の最前および最後部には、計器盤を模したステッカーが。拡大
12号線セーヴル=バビロン駅のホームにて。小屋は往年に「駅長室」と呼ばれていたものの、実際にはホーム担当駅員の詰め所だった。
12号線セーヴル=バビロン駅のホームにて。小屋は往年に「駅長室」と呼ばれていたものの、実際にはホーム担当駅員の詰め所だった。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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