小型ピックアップトラックが人気に

日本では、1970年代に入ると4WD車で釣りやキャンプに出掛けることを楽しむ人々が増えてくる。ジープの販売も、官庁や法人から個人ユーザー向けが主になりつつあった。4WD車で集まり、情報交換を行ったり親睦を深めたりする「ジープジャンボリー」も始まる。

そうした中にあって、三菱ではジープに代わる新たな4WD車を開発しようという機運が生まれた。ジープの基本設計は1941年のもので、軍用車両としての生い立ちから快適性への配慮は乏しかった。レジャー用途の増大もあり、時代に合わせたモデルをつくる時期にきていたのである。海外進出を果たすためにも、ライセンスに縛られない新車種が必要だった。

1973年の東京モーターショーに、「ジープ パジェロ」という名のコンセプトモデルが出品されている。ジープのシャシーにバギー車のようなボディーをのせたもので、パタゴニア地方に生息する野生猫の名前が付けられた。実現性のあるモデルではなく、「ギャラン」や「ランサー」が売れていた三菱ではこれを発展させて市販化しようとする動きは生まれなかった。

流れが変わるのは、1970年代も後半に入ってからだ。1978年、三菱から小型ピックアップトラックの「フォルテ」が発売される。人気が高まりつつあったジャンルで、日産の「ダットサン・トラック」や、トヨタの「ハイラックス」などが北米への販売攻勢を強めていた。遅ればせながら三菱も参入を果たし、国内外ともに好調な売れ行きを示す。4WDモデルを追加する運びとなり、そこで同じシステムを使ったジープの後継車をつくろうという提案がなされた。ジープの販売台数は年間1万台に満たず、単独で開発するのは難しかったのだ。

曲折を経て、初代パジェロが発売されたのは1982年である。輸出も含めて予定月販台数は1900台だったが、2年目には2800台に達し、5年目を迎えると7000台を超える数字を記録するようになった。快適な乗車環境を持ちながらオフロード性能も高いモデルを、市場は待っていたのだ。

三菱が1973年の東京モーターショーに出展した「ジープ パジェロ」。ジープをベースとしたバギータイプのコンセプトカーだった。
三菱が1973年の東京モーターショーに出展した「ジープ パジェロ」。ジープをベースとしたバギータイプのコンセプトカーだった。拡大
1978年に登場したライトトラックの「三菱フォルテ」のシャシーとドライブトレイン。三菱の次世代4WDモデルの開発は、同車のプラットフォームをベースに進められた。
1978年に登場したライトトラックの「三菱フォルテ」のシャシーとドライブトレイン。三菱の次世代4WDモデルの開発は、同車のプラットフォームをベースに進められた。拡大
1979年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「パジェロII」。「フォルテ」のシャシーに専用のボディーを架装したもので、市販モデルの直系の祖といえるコンセプトカーだった。
1979年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「パジェロII」。「フォルテ」のシャシーに専用のボディーを架装したもので、市販モデルの直系の祖といえるコンセプトカーだった。拡大
初代「パジェロ」は1982年5月に登場。キャンバストップ(写真)とメタルトップという2つのボディータイプで発売された。
初代「パジェロ」は1982年5月に登場。キャンバストップ(写真)とメタルトップという2つのボディータイプで発売された。拡大
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