デザインの自由度を上げたLED

2007年に世界で初めてLEDヘッドライトを搭載したのは、「レクサスLS600h」である。LEDは発光ダイオードという半導体素子を利用した照明だ。1962年にはすでに開発されていたが、当時は赤色のものしかつくれなかった。困難だった青色LEDの研究には日本人が大きな業績を残しており、2014年に研究者らがノーベル化学賞を受賞している。これによって白色LEDが実現し、ヘッドライトとしての利用が可能になった。

LEDはディスチャージヘッドライトよりさらに消費電力や発熱が少なく、寿命が長い。応答性もよく、スイッチを入れれば瞬時に最大の光量が得られる。性能だけでなく、デザインにとっての利点も大きい。点光源なので配置の自由度が高く、思い通りの造形が可能になった。

ヘッドライトの進化を促したものに、レースの存在がある。夜間のレースでは視界の確保が重要で、ヘッドライトの性能は成績に直接結びつく。1926年にシビエはルマン24時間レースのために淡黄色のフォグランプを開発している。白色よりも視認性が高いとされていたからだ。市販モデルでもフランス車には淡黄色のヘッドライトがよく使われていた。日本では2006年からヘッドライトの色が白のみと定められたので、新車には使用できない。

視認性の向上には、照度を上げる以外の方法もある。照らす方向をコントロールするのだ。ハイビームとロービームの切り替えは、1910年代から存在している。1967年には「シトロエンDS」が量産車として初めてステアリング連動式ヘッドライトを採用した。最近では、GPSとマッピングデータを利用して死角を減らす研究も行われている。ヘッドライトは今も次々に新技術が生まれているホットなフィールドなのだ。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛)

LEDを用いた照明については、日本で青色LEDが発明されたことで白色の発光が可能となり、今日の普及に至った。
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2007年に登場した「レクサスLS600h」には、世界初となるLED式のヘッドライトが装備されていた。
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一時はフランス車の代名詞ともなっていた黄色いランプ類は、レースカーへの採用をきっかけに普及したものだった。
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世界で初めてステアリング連動式ヘッドライトを搭載した「シトロエンDS」。
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