技術革新から新デザインが生まれる期待
というのは、この先さまざまな進化の可能性が予想されるからだ。
クローズドボディーに装着できるガラスルーフの面積は、技術革新によってより広くなり、さらに軽くなるだろう。普及が進めば価格低減効果も期待できる。したがって、オープンに近い車内の開放感を求めるユーザーを、より満足させることができるようになる。ルーフに透明樹脂が活用されるようになれば、重量増の問題もクリアできる。
やがて完全自動運転車の時代になれば、車室内を囲むディスプレイに、別の風景を投影することも可能になるかもしれない。
実際に旅客機の世界では2014年、英国の技術開発機関センターフォープロセスイノベーション(Cpi)が、有機ELディスプレイを客室内に貼り巡らせて空の映像を投影する、窓のない機体を提案している。
それを応用すれば、東京の都心を走るときには“バーチャル車窓”に江戸の風景を映し出し、ローマを走るときはベン・ハーの馬車と並走……などということも可能になる。
オープンモデルとは別次元のファン・トゥ・ドライブが実現するのである。
その頃には、ステアリングやペダルなどの操作系が不要になり、車内のレイアウトが画期的に変わるだろう。ラゲッジスペースの位置もかなり自由になり、従来のどれにも属さない、新しいボディースタイルが誕生するかもしれない。
2020年、米国でいよいよステアリングなしの自動運転車の実証実験が開始されるのは、その一歩と考えたい。
従来とはまったく違ったパッケージング、そしてスタイルのカテゴリーが誕生する兆しが見えてきた。その頃の「かっこよく走ってよ」とは、どういう定義なのか興味深いではないか。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA、Cpi/編集=藤沢 勝)

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
-
NEW
ヤマハ・トリシティ300(CVT)【レビュー】
2021.1.26試乗記フロントに2つのタイヤが付いた、ちょっと変わったオートバイ。ヤマハが提案する新型三輪モデル「トリシティ300」に乗ったなら、普通の二輪車とはかなり違ったバイクライフが送れるに違いない。 -
NEW
トライアンフ・トライデント660
2021.1.25画像・写真トライアンフの新型モーターサイクル「トライデント660」が、東京・渋谷の「代官山 蔦屋書店」に展示された。新開発の水冷3気筒エンジンを搭載した、軽快なミドルクラス・ネイキッドモデルの詳細な姿を、写真で紹介する。 -
NEW
月に1度の特別なメールマガジン『月刊webCG通信』 EVは選べる時代! あなたのチョイスは?
2021.1.25From Our StaffwebCG執筆陣によるコラムや月間アクセスランキング、読者アンケートなど、さまざまなコンテンツを通して自動車業界の1カ月を振り返る『月刊webCG通信』。2月号では、ついに“選べる時代”を迎えた電気自動車について、読者の皆さまのご意見を大募集いたします! -
コロナ禍が売れるクルマを変えた? 自動車市場の2020年を販売データから振り返る
2021.1.25デイリーコラム日本全国が新型コロナウイルス感染症の猛威にさらされた2020年。この年は、自動車市場にとってどのような一年となったのか? 各団体が発表した統計データから振り返るとともに、コロナ禍がもたらした自動車ユーザーの嗜好の変化を考察した。 -
スバルXVアドバンス(4WD/CVT)【試乗記】
2021.1.25試乗記フルモデルチェンジから3年を経て、再びの改良を受けた「スバルXV」。国内外の有力モデルがひしめくコンパクトSUV市場において、XVだけが持つライバルにはない魅力とは? わが道を行くスバル製クロスオーバーの、唯一無二の個性に触れた。 -
ロータス・エキシージ スポーツ410(前編)
2021.1.24池沢早人師の恋するニューモデル漫画『サーキットの狼』の作者、池沢早人師が今回ステアリングを握るのは「ロータス・エキシージ スポーツ410」。劇中で主人公・風吹裕矢の愛車として活躍した「ロータス・ヨーロッパ」のDNAを受け継ぐ、軽量ミドシップスポーツの走りとは?