バッジが次々と落ちてゆく

もうひとつのイタリアの名門ランチアである。

こちらではバッジが著しく劣化しているランチア車をたびたび発見できる。ファンならご存じのとおり、このブランドのシンボルカラーはブルーなので、色は言い訳にならないだろう。バッジそのものの耐久性の問題と思われる。

ランチアといえば、筆者が20年以上前にイタリアで最初に手に入れた中古の初代「ランチア・デルタ」では、テールゲートのバッジに泣かされた。

土台となる銀色のプラスチック製プレートの上に青いプレートが載っているという2パーツ構造であり、デルタの場合は左が「LANCIA」で、右が「1300」だった。

しかし、ある日気がつくと1300の青いプレートがなくなって、土台だけになっていた。

幸い、後日解体工場で同じものを見つけて貼り付けたものの、今度はLANCIAのほうがなくなってしまった。走行時の振動やテールゲート開閉時の衝撃が繰り返し発生するうちに、はがれ落ちてしまったに違いない。

当時路上を走っていた他のデルタにも同様の例がたびたび見られた。さらに、同時期につくられたランチアの他モデルでも、グレード名のプレートがなくなっているものをよく発見したものだ。筆者の中古デルタならともかく、フェラーリの8気筒エンジンを搭載した「テーマ8.32」といったモデルに乗っていた人は、もっと泣けてきたことだろう。

バッジの品質は、ユーザーの満足度にも影響する。新ブランドデザインやそれを基にしたバッジ制作に関わる方々は、新車時のスタイリッシュさだけでなく、ぜひとも将来をも見据えた色彩とマテリアルを選択していただきたい。

(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA、BMW、フォルクスワーゲン/編集=藤沢 勝)

2代目「ランチア・イプシロン」。バッジの色味がほとんど残っていない。
2代目「ランチア・イプシロン」。バッジの色味がほとんど残っていない。拡大
こちらの初代「ランチア・イプシロン」は、バッジが失われている。
こちらの初代「ランチア・イプシロン」は、バッジが失われている。拡大
筆者がイタリアで最初に購入した1987年「ランチア・デルタ」。テールゲートの排気量&ブランドバッジの落下には泣かされた。
筆者がイタリアで最初に購入した1987年「ランチア・デルタ」。テールゲートの排気量&ブランドバッジの落下には泣かされた。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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