自由へと駆け抜けるジャガー

マーゴット・ロビーは、この映画のプロデューサーも務めている。ということは、彼女が伝えたかった女性像が描かれているのだろう。新鋭女性監督のキャシー・ヤンを起用したことにも、彼女の明確な意図が見て取れる。女たちが結集してバカな男どもをやっつける陽性のアクション映画を作ろうとしたのだ。キャシー・ヤンは見事に期待に応え、彼女もやりたい放題だ。第四の壁などぶち破っていくのは当然である。

利害が一致せず、反目しあっていた女性たちは、ブラックマスクとの最後の戦いを前にチームを組むことになる。決戦の舞台では、ハーレイ・クインがなぜか途中からローラースケートを履く。2017年の映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』でトーニャ・ハーディングを演じたマーゴット・ロビーは、スケートはお手の物なのだ。せっかくの特技を生かさないのはもったいないという精神は、目につくものを何でも凶器に変えてしまうハーレイ・クインの手法に通じている。

利害のみで結集した古い権威主義的な男どもは、友情で結ばれた女性たちの楽しげな戦い方に勝てるわけがない。汗臭い筋肉バカの男たちがくんずほぐれつする暑苦しい映画はもう時代遅れなのだ。女性たちは軽やかに正義と悪の間でダンスしてみせる。ただし、彼女たちにとっては友情さえも堅苦しい拘束具なのかもしれない。ジャガーXJ-Sは、男たちのようなねっとりした絆愛(きずなあい)を振り払い、自由を求めて快音を響かせるのだ。

(文=鈴木真人)

(C) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
2020年3月20日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
	『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』
	2020年3月20日(金)全国ロードショー
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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