マツダCX-8 XDプロアクティブSパッケージ(FF/6AT)
あんばいがいい 2020.03.30 試乗記 さらなる高みを目指し、発売後も惜しみなく製品の改良を続けるというマツダ。その基本方針と車両の進化を確かめるべく、3列シートSUV「CX-8」の最新モデルに試乗した。販売の半数以上を占めるというディーゼルモデルの印象を報告する。クルマづくりの錦の御旗
マツダの3列シートSUV、CX-8の改良最新モデルは、2019年10月に開催された第46回東京モーターショー2019で初公開された。例によってその変更内容はといえば、パッと見で気づくような分かりやすいものではなく、これは随時こまごまとしたアップデートを行い、クルマを熟成させ続けるという最近のマツダが掲げる“クルマづくりの錦の御旗”のもとに実施されている。
そんな変更ポイントの中でも比較的大きなニュースとなるのがAWD車に新開発の「オフロードトラクションアシスト(OTA)」が搭載されたことだ。この電子デバイスの採用は既報のとおり新型クロスオーバー「CX-30」に続くもの。同リポートにも詳しいが、OTA自体は今や特別なものではない。
簡単に説明すれば、OTAは横滑り防止装置や「G-ベクタリングコントロール プラス」にも使用されている4輪独立ブレーキ制御を応用した技術。低グリップ路やオフロードなどでどこかのタイヤが空転してしまった場合、そのタイヤにのみブレーキをかけグリップ力が確保されている残りのタイヤにエンジントルクを配分、悪路からの脱出をサポートするシステムである。
つまり、多くのユーザーにとっては日常的に使用する類いの装備ではない。がれ場や雪道などの過酷な状況下でありがちな、タイヤがハマり思わず涙目になってしまいそうなシチュエーションで活躍する、いわば緊急脱出機構である。ちなみにOTAの起動は、ダッシュボード右下に備わるスイッチを押して行う。
あいにく今回はFF車のオンロード試乗のみであったためその実力を味わうには至っていないが、転ばぬ先のつえ、スタック前にOTAで、もしもの時に安心である。既存技術の流用でありさして珍しいものではないとはいえ、一度でも雪道で、いやもちろん林道でも河原でも同じだが、そうした絶体絶命のシーンに直面したことがある人なら、ありがたくも心強いバカにできないデバイスであることはおわかりのはずだ。
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