ボルボS60 T4モメンタム(FF/8AT)
実力派バイプレーヤー 2020.04.10 試乗記 現行ボルボで唯一のセダンとなった「S60」に試乗。伝統のステーションワゴンやSUVが話題を集めている同ブランドにあって、セダンにはどんな魅力があるのか。最高出力190PSのエントリーモデル「T4」のステアリングを握り、箱根の山岳路で確かめてみた。実はアメリカ生まれ
ボルボの新世代モジュラープラットフォーム、すなわち「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー(SPA)」が採用されたモデルとして、登場年次が最も新しいS60シリーズ。日本での発表は2019年11月で、ご承知の通り日本に導入されるS60は全量がアメリカ・サウスカロライナ州にあるチャールストン工場で生産が行われている。
かつてボルボといえばステーションワゴンがメインストリームであり、セダンはどちらかといえば脇役だった。2002年に「XC90」が登場して以降、「XC60」「XC40」とSUVやクロスオーバーモデルのバリエーションも増え、世代を重ねるごとにメインストリームはそのSUV系に移ったかのように見えるが、そうした大きな変化の中にあっても市場のセダンに対するイメージに動きはなかった。いや、むしろボルボに限らず日本ではセダン離れがますます加速し、それは世界的な流れでもあるように思う。
北米でもこうした事情は同様だ。セダンは長きにわたって北米市場での主力ボディータイプだった。しかし、デトロイトスリーの一角であるフォードが2年前(2018年)に本国アメリカでセダン販売からの撤退を表明したように、人気も需要も徐々に下降線をたどりつつある。かつての人気がウソのように売り上げが落ち込んだステーションワゴンやミニバンほど顕著ではないが、その流れは止められそうにない。
ただ、そうした中にあっても、Dセグメントないしプレミアムブランドのセダンは地盤沈下をギリギリのところで免れている。日本のように壊滅的ではないが、以前ほどホットでもない……という背景をおさらいしつつ冒頭に戻れば、そんな市場状況の中でボルボが「地産地消」を目的にS60の生産拠点をアメリカに新設したというニュースは、実にチャレンジングであり、正直、大丈夫か? というのが偽らざる印象だった。
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