TOM'Sセンチュリー(FR/CVT)
金の価値では測れない 2020.04.28 試乗記 レーシングチームであるTOM'S(トムス)が仕立てたコンプリートカー「TOM'Sセンチュリー」に試乗。日本が誇るショーファードリブンは、TOM'Sの手でどのような“ドライバーズカー”に生まれ変わったのだろうか。うわさの真相
やれ購入前には身元調査がなされるだの、ローンは組めないだの、老舗ホテルでは迷わず玄関最寄りに誘導されるだの……と、「トヨタ・センチュリー」にまつわる都市伝説は枚挙にいとまがない。
が、僕が知る限りそのほとんどは膨らんだうわさ話にすぎない。保護法により個人情報が厳格に管理される中、市井の販売店がそんな調査などかけられるはずもなく、ホテルもクラシック系でもなければメルセデスの「Sクラス」と同じ扱いだ。ちなみにセンチュリー級の価格帯のクルマについては今日びローンは普通で、むしろ販売店からローン契約を勧められるほどだ。恐らくの理由は金融機関の与信が知らずして反社系との取引になってしまう状況を防止するフィルター的な役目を果たしてくれるからだろう。
ちなみにセンチュリーの場合、カスタマーの大半は法人や官公庁で契約はリースが基本。個人が普通に購入する案件が少ないのもこういうエピソードが独り歩きする理由でもある。砂漠でエンコしたロールスが……の話ではないが、半世紀以上、日本のエスタブリッシュメントに向けてつくり続けてきたという伝統を皮肉られた栄誉ということだ。
そんなやんごとなきセンチュリーをベースにカスタマイズされた車両が、コンプリートカーとして販売されているTOM'Sセンチュリーだ。