「おんぶブーブー」が教えてくれたもの

ところで、新型コロナ問題以降、いくつかの自動車メーカーがクルマの「ぬりえ」をインターネット上で提供し始めた。家にいる子どもたちに自社ブランドに親しんでもらおう、という意図であろう。

自動車業界で最初に子ども向けグッズをプロデュースしたのはアンドレ・シトロエンだ。不世出ともいえる宣伝の才があった彼は、創業からわずか4年後の1923年に最初のモデルカーを発売している。

今回はぬりえ、かつ無料配布だが、「将来の顧客がターゲット」という目的は、ほぼ1世紀前から変わらないことになる。

自動車メーカーに企画を売り込む広告代理店・PR会社の発想に限界を感じてしまうのは筆者だけか。

そうしたことを考えながら、外出がままならぬ代わりに片づけをしていたら、筆者が幼年時代に描いた絵を発見した。裏に記された日付からして幼稚園入園前後、年代にして1970年前後のものである。

それらを見ていて最初に気づいたのは車両運搬車、当時の筆者が用いていた呼称で記せば「おんぶブーブー(クルマを背負うクルマの意味)」に対する執拗(しつよう)ともいえる興味である。

これは当時筆者が住んでいた地域に日野自動車の工場があったのが理由だ。ついでにいうと日野だったために、のちに「なぜ日野の工場からトヨタ車を積んだおんぶブーブーが出てくるのか?」といった疑問へとつながり、早期から業界の相関図に興味を抱くことになった。

シエナ市が各戸に配ったマスクに続き、トスカーナ州からも無料配給されるというので、駅構内の薬局に並んでみる。
シエナ市が各戸に配ったマスクに続き、トスカーナ州からも無料配給されるというので、駅構内の薬局に並んでみる。拡大
5枚入りの不織布マスクが2袋渡された。シエナ駅にて。2020年5月7日撮影。
5枚入りの不織布マスクが2袋渡された。シエナ駅にて。2020年5月7日撮影。拡大
1968年ごろ(筆者が2歳のころ)のスケッチブックから。車両運搬車を表紙の裏までひたすら描いている。市内に日野自動車の工場があって、「トヨタ・ハイラックス」を製造していたためである。
1968年ごろ(筆者が2歳のころ)のスケッチブックから。車両運搬車を表紙の裏までひたすら描いている。市内に日野自動車の工場があって、「トヨタ・ハイラックス」を製造していたためである。拡大
やや後年の作と思われるもの。他の幼児と同様、消防車やレッカー車等に興味を抱いていた形跡がある。
やや後年の作と思われるもの。他の幼児と同様、消防車やレッカー車等に興味を抱いていた形跡がある。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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