最新作はアストン祭り

1990年代になると、BMWがボンドカーとして使われるようになる。『ゴールデン・アイ』の「Z3」、『トゥモロー・ネバー・ダイ』の「750i」、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』の「Z8」である。遠隔操縦装置が付いていたりして見どころはあったが、やはり「ボンドカーはアストンだろ!」という信念を持つ保守的なファンも多かった。21世紀になると、『ダイ・アナザー・デイ』に「ヴァンキッシュ」、『カジノ・ロワイヤル』に「DBS」が登場する。

それでも物足りないと感じるのが、最先鋭のDB5至上主義者たちである。シリーズ誕生から50年を経た2012年、『スカイフォール』でDB5が復活した。ナンバーはオリジナルの「BMT216A」。ただし、これはボンドカーではない。MI6から払い下げられたもので、ボンドのプライベートカーなのだ。久しぶりに勇姿を見せて存在感を示したが、敵の攻撃を受けて穴だらけになってしまう。

2015年の『スペクター』のボンドカーは「DB10」。アストンマーティンがこの映画だけのために製作したモデルで、市販はされていない。マシンガンや火炎放射器を装備して高い戦闘力を持っていたが、カーチェイスの末に川に沈没させてしまう。この作品のラストには、Qによって修復されたDB5が現れた。ということは、ボンドカーDB5の復活ということになるはずだ。

『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の予告編を見ると、ボンドがこのDB5で暴れまわるシーンがある。ヘッドライトにはマシンガンが仕込まれているようで、これぞ待ち望んでいたボンドカーだ。ほかにも「ヴァンテージ」や「DBSスーパーレッジェーラ」が登場するという。さらには2022年発売予定の「ヴァルハラ」まで姿を見せるというから、ファンにとってはたまらないサービスである。

見るだけでなく乗りたくなるのは当然だが、DB5の価格は高騰しているし、ヴァルハラは1億5000万円だというからハードルが高い。手を出せるとすれば、二輪だろう。ボンドはあまりバイクには乗らないが、今作では「トライアンフ・スクランブラー」で派手なアクションを見せる。コラボモデルが限定で発売されるらしい。価格は259万円。ボンドになりきることができるのなら、安い買い物ではないか。

(文=鈴木真人/写真=アストンマーティン、トヨタ自動車、ロータス カーズ、BMW、トライアンフ モーターサイクルズ/編集=関 顕也)

1990年代は、BMW車が劇中で活躍した。写真の「BMW Z8」は1999年の『ワールド・イズ・ノット・イナフ』に登場。車体が真っ二つに切り裂かれるというシーンも記憶に残る。
1990年代は、BMW車が劇中で活躍した。写真の「BMW Z8」は1999年の『ワールド・イズ・ノット・イナフ』に登場。車体が真っ二つに切り裂かれるというシーンも記憶に残る。拡大
アストンマーティンの復活を印象づけた「ヴァンキッシュ」。ミサイルやマシンガン、カムフラージュ機能を搭載するボンドカーらしい仕立てで、氷上において激しいカーチェイスを展開した。
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「アストンマーティンDB10」は、劇中限定となったモデル。撮影車両はチャリティーオークションに出品され、およそ4億円の価格で落札された。
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最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』には、ハイパーカー「ヴァルハラ」も登場する。果たしてどんな走りが見られるか?
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『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では新型バイク「トライアンフ・スクランブラー1200」によるアクションシーンも。これに関連して、同モデルの限定車「ボンドエディション」(写真はマフラーのヒートプロテクター)も販売される。
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