ポイントは新しいコンパウンドとトレッドパターン

凍結路面では、タイヤと路面との間に発生する“ミクロの水膜”が滑りの原因であるらしい。であるならば、路面に接した瞬間にその水分をタイヤに吸い取り、路面から離れたら、次の接地までのわずかな時間に効率よくそれを排出。次の“貯水”へと備える。これが昨今のスタッドレスタイヤ開発における、各社に共通する基本的な考え方だ。

ミシュランの場合、従来品であるX-ICE3+では“表面再生ゴム”と名付けられたトレッドコンパウンドが、主にその役割を担ってきた。これは、路面に触れるとコンパウンド上の「Mチップ」と呼ばれる物質が溶け出すことで、微細な穴が無数に発生し、路面の水を吸い取るというもの。摩耗が進行してもこのサイクルが続くことで、タイヤライフを通して優れたアイス性能を確保するというアイデアを採用してきたのだ。

新タイヤであるX-ICE SNOWの場合も、「再生が続くコンパウンドを採用することで、摩耗が進んでも性能を劣化させない」という考え方は同じだ。ただし、新採用の「EverWinterGripコンパウンド」は、「従来品より剛性が高いポリマーベースの配合剤を使用したことでロングライフ性を向上させ、同時に表面により不均一で微小な凹凸が生成されることにより、ミクロの水膜を破った路面への密着効果と、雪中せん断効果の向上による雪上性能の向上が見込める」と、開発陣はそのように述べている。

ちなみに、今回も回転方向性が与えられた新デザインのトレッドパターンは、「28%増加したサイプ長によるアイス路面でのエッジ効果増強」や、「溝面積を増したVシェイプ採用によるシャーベット/ウエット路面性能の向上」「サイプの倒れ込み防止による雪中せん断効果向上」などがうたわれたもの。タイヤの交換時期を示すプラットフォームより深く刻まれたサイプにより、「使用限界末期までブロックがしなやかさを保ち、高い氷雪性能をキープする」という点も、この新タイヤの特徴とされている。

説明会の会場に展示された「X-ICE SNOW」(左)と、SUV用の「X-ICE SNOW SUV」(右)。
説明会の会場に展示された「X-ICE SNOW」(左)と、SUV用の「X-ICE SNOW SUV」(右)。拡大
「X-ICE SNOW」のトレッド面。「EverWinterGripコンパウンド」はトレッドの底部まで使われており、摩耗しても高い雪上性能が保たれるという。
「X-ICE SNOW」のトレッド面。「EverWinterGripコンパウンド」はトレッドの底部まで使われており、摩耗しても高い雪上性能が保たれるという。拡大
Vシェイプ型のトレッドパターンは、効率よく雪や水を排出するための、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤではおなじみのもの。サイプの内部は隣り合うブロックがかみ合うようなギザギザの形状をしており、接地時のブロックの倒れ込みを抑制している。
Vシェイプ型のトレッドパターンは、効率よく雪や水を排出するための、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤではおなじみのもの。サイプの内部は隣り合うブロックがかみ合うようなギザギザの形状をしており、接地時のブロックの倒れ込みを抑制している。拡大
トレッドパターンの模型。写真奥側は新品状態、手前側は50%摩耗した状態を模しており、タイヤが摩耗してもミゾがしっかり残っていることが分かる。
トレッドパターンの模型。写真奥側は新品状態、手前側は50%摩耗した状態を模しており、タイヤが摩耗してもミゾがしっかり残っていることが分かる。拡大
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