どん底から一転 ルノーとともに華麗なる復活
マクラーレン・ホンダが16戦15勝という金字塔を打ち立てた1988年シーズンは、ウィリアムズにとって屈辱に満ちた一年だった。ホンダに別れを告げられ、ノンターボの非力なジャッドエンジンで戦わざるを得ず、1978年シーズン以来となる未勝利で終了。しかし、転んでもただでは起きないのがウィリアムズチームでありフランクだった。
ターボが廃止され自然吸気エンジンに統一された1989年、ウィリアムズはルノーと手を組んだ。翌年には天才的デザイナー、エイドリアン・ニューウェイが加わり、1991年にはマンセルがフェラーリからカムバック。これでウィリアムズ・ルノー黄金期の下準備が整った。
1991年のF1は、「マクラーレン・ホンダのアイルトン・セナ」対「ウィリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセル」という構図を軸に、シーズンが展開。開幕4連勝でチャンピオンシップをリードするセナと、中盤に盛り返して猛追するマンセルによるタイトル決定戦の舞台は、ホンダのお膝元である日本GPとなった。結果は、鈴鹿に背水の陣で臨んだマンセルだったものの、1-2でスタートして連係プレーを繰り広げるマクラーレン勢に翻弄(ほんろう)され、あえなく敗退。とはいえその奮闘ぶりは、来(きた)るシーズンのウィリアムズの勢いを予感させるものだった。
1992年シーズンは、アクティブサスペンション、トラクションコントロールといったハイテクメカ満載の「FW14B」と、“レッドファイブ”を付けたマンセルがチャンピオンシップを席巻。マンセルは開幕5連勝を含む16戦9勝、ポール14回という圧倒的な強さで“無冠の帝王”の名を返上し、念願の初王座に就いた。そして、かつての相棒の成功を見届けるように、ホンダはこの年限りでF1第2期の活動に幕を下ろした。
翌1993年のウィリアムズは、マンセルの後釜に収まったアラン・プロストとともに2年連続ダブルタイトルを達成。1994年には引退したプロストに代わりセナが加わるも、この年からはハイテクデバイスが禁止され、前年まで圧倒的な速さを誇っていたウィリアムズのマシンからは安定感が失われてしまった。セナは序盤2戦ともにポールポジションからリタイア。そして迎えたサンマリノGPにおいて、希代の天才ドライバーは大クラッシュの果てに命を落としてしまった。この年、セナの死という衝撃的な出来事を乗り越え、僚友デーモン・ヒルが最後までタイトル争いを繰り広げるも、わずか1点差でベネトンのミハエル・シューマッハーに惜敗。一方、チームは3年連続でコンストラクターズタイトルを獲った。
その後、デーモン・ヒル(1996年)、ジャック・ビルヌーブ(1997年)と2人のチャンピオンを輩出したウィリアムズは、1997年でルノーとの蜜月にピリオドを打つ。ウィリアムズ・ルノーの9年間の戦績は、63勝、ポールポジション79回、奪ったタイトルは合計9(コンストラクターズ5、ドライバーズ4)という堂々たるもの。まさにウィリアムズが一時代を築いた、そんな1990年代だった。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
-
NEW
三菱の最新電動SUV「エクリプス クロスPHEV」「アウトランダーPHEV」の魅力に迫る
2021.2.25電気の力を多彩に活用 三菱の最新PHEVを味わう<AD>三菱自動車のプラグインハイブリッド車は電気の使い方が多彩だ。環境対応は当然として、走りの楽しさと上質さも追求。さらにクルマ自体を“電源”としても使えるようにしている。「エクリプス クロスPHEV」と「アウトランダーPHEV」、2台の最新モデルでその世界を味わってみた。 -
NEW
第695回:欧州カーシェアリングの切ない傷跡 ピニンファリーナのブルーカーにささげる言葉
2021.2.25マッキナ あらモーダ!かつて欧州におけるカーシェアの先駆けとしてパリで展開されていた「オトリブ」の車両に、イタリア・トリノで出会った大矢アキオ。「どうしてこんなところに?」と考えるうちに、同市のカーシェアを巡る意外な事実が判明したのだった。 -
NEW
ポルシェ・タイカン ターボ(後編)
2021.2.25谷口信輝の新車試乗高性能を誇るポルシェのEV「タイカン ターボ」にすっかり感心した様子の谷口信輝。しかし、試乗を続けるなかで、走りの特性にちょっと気になる点もあるという。それは一体……? -
NEW
アルピナのオリジナルマスクをプレゼント!
2021.2.25プレゼントクルマ好きならご存じ、あのアルピナエンブレムをあしらったオリジナルマスクをプレゼント! 素材はポリエステルと伸縮性のあるエラスタン。バンドの長さは調節可能です。 -
NEW
メルセデス・ベンツCクラス
2021.2.24画像・写真新世代の「メルセデス・ベンツCクラス」がデビュー。セダン、ワゴンそろって、その姿が公開された。クラシカルなプロポーションが特徴のエクステリアや、新型「Sクラス」の要素を取り入れたというインテリアを写真で紹介する。 -
新型「スバルBRZ GT300」シェイクダウンイベントの会場から
2021.2.24画像・写真2021年シーズンのSUPER GTに参戦するニューマシン、新型「スバルBRZ GT300」のシェイクダウンが、富士スピードウェイで行われた。その様子とマシンのディテールを写真で紹介する。