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BMW X3 M40d(4WD/8AT)/BMWアルピナXD3(4WD/8AT)

一度知ったら戻れない 2020.08.06 試乗記 「BMW X3 M40d」と「BMWアルピナXD3」。3リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載する“似た者同士”の高性能SUVに試乗し、それぞれの特徴をリポートする。まずは前編、BMW X3 M40dから。

ありそうでなかった高性能SUV対決

実際には直接の比較対象にはなりにくくても、スペックが似通っていて価格も近いとなれば、あれこれと比べて妄想するのはクルマ好きの悲しき性というか、好奇心旺盛な私たちの習性である。確かに、BMWのX3 M40dとアルピナのXD3は同じ3リッター直6ターボディーゼルを積むX3の高性能版同士だ。身内ながら格好のライバルとなるのだろうが、BMW本体とアルピナとでは生産規模が違いすぎて、さらにアルピナは長年SUVには手を染めていなかったので、これまで真正面から比べることを見落としていたのかもしれない。

以前からディーゼルモデルの日本導入に積極的なBMWながら、その大半は2リッター4気筒を搭載しており、3世代目のX3の日本仕様にも2017年の導入当初は4気筒ディーゼルターボしかなく、6気筒ディーゼルターボ搭載車はラインナップされていなかった。直6エンジンの復権ムードに押されて勝算ありと踏んだBMWがその1年後に導入したのがM40dだが、6気筒ディーゼルにも仕様がいろいろあるのでちょっとややこしい。

ブランドは違っても、メカニズムには共通点の多い「BMWアルピナXD3」(写真左)と「BMW X3 M40d」(同右)。価格は前者が1115万円で、後者が901万円となっている。
ブランドは違っても、メカニズムには共通点の多い「BMWアルピナXD3」(写真左)と「BMW X3 M40d」(同右)。価格は前者が1115万円で、後者が901万円となっている。拡大
運転席側に向けられたセンターコンソールをはじめ、ドライバーオリエンテッドなデザインが採用された「X3 M40d」のインテリア。日本仕様車のハンドル位置は右のみとなる。
運転席側に向けられたセンターコンソールをはじめ、ドライバーオリエンテッドなデザインが採用された「X3 M40d」のインテリア。日本仕様車のハンドル位置は右のみとなる。拡大
「X3 M40d」には、写真の「アルピン・ホワイトIII」を含む全5色のボディーカラーが用意される。
「X3 M40d」には、写真の「アルピン・ホワイトIII」を含む全5色のボディーカラーが用意される。拡大

そもそも少ない6気筒ディーゼルモデル

数字の前に付く「M」の文字が示すように、M40dは「Mパフォーマンスモデル」である。これはスタンダードモデルの「Mスポーツ」(トリムグレード)と本当のMモデル(こちらはガソリンエンジンのみ)の中間に位置する高性能シリーズで、ライバルのメルセデス・ベンツで言えばAMGパッケージとAMGスポーツ、およびAMG、またアウディならSラインパッケージ/S/RSに相当する。ただし、メルセデスは導入したと思ったら早々と前言を撤回、AMGスポーツという名称を廃止してしまった。紛らわしいとの不満を受けてのことだという。

ターボで過給されているとはいうものの3気筒だ4気筒だと、排気量の小さなダウンサイジングユニットが当たり前になった当節、6気筒であるだけでこれはもう貴重というか、スペシャルなエンジンである。

本国には「X3/X4」シリーズに「30d」という6気筒ディーゼルモデルがあるが、日本ではこのM40dだけ。そこが第一の魅力だろう。また日本仕様の「X5」や「X6」には6気筒の「35d」がラインナップされているが、そちらは出力控えめのシングルターボ仕様(ツインスクロールターボ1基)、高出力仕様のツインターボ版B57ユニットはフラッグシップサルーンの「740d」とこのM40dにしか積まれていない。

最新世代の「X3」が日本で発売されたのは2017年10月。今回の「M40d」は、2018年9月に追加設定されたディーゼルの高性能モデルである。
最新世代の「X3」が日本で発売されたのは2017年10月。今回の「M40d」は、2018年9月に追加設定されたディーゼルの高性能モデルである。拡大
フロントに縦置きされる3リッター直6ディーゼルターボエンジン。最高出力326PS、最大トルク680N・mを発生する。
フロントに縦置きされる3リッター直6ディーゼルターボエンジン。最高出力326PS、最大トルク680N・mを発生する。拡大
今回「X3 M40d」では約200kmの距離を試乗。燃費は満タン法・車載燃費計ともに10.8km/リッターを記録した。JC08モードの燃費値は14.9km/リッターで、燃料タンクの容量は68リッター。
今回「X3 M40d」では約200kmの距離を試乗。燃費は満タン法・車載燃費計ともに10.8km/リッターを記録した。JC08モードの燃費値は14.9km/リッターで、燃料タンクの容量は68リッター。拡大

直6ディーゼルはツインターボの最新式

今や「X1」から3列シートのフルサイズモデル「X7」まで、水も漏らさぬ布陣でSUVを取りそろえるBMWだが、このうち奇数番号モデルを「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)」と称し、偶数番号モデルをクーペスタイルの「SAC」、すなわち「スポーツ・アクティビティ・クーペ」と呼んでいるのはご存じの通り。

X3はそのSUVシリーズの中でも中核の重要モデルで、現行のG01型はX3として3世代目に当たるコンパクトSUVである。とはいっても、全長4.7m超、全幅約1.9mというボディーサイズは日本では立派なアッパーミドルクラスである。日本では標準モデルはプラグインハイブリッドの「30e」を含めてすべて4気筒を搭載、6気筒を積むのはMパフォーマンスモデルのM40dと「M40i」だけとなる。

B57型6気筒直噴ディーゼルターボエンジンは、従来型のN57型に代わる最新のモジュラーユニットで、3気筒のB37型および4気筒のB47型と共通のボア・ストロークを持つ。当然ながらコモンレールシステム、VGT(可変ジオメトリーターボ)、SCR触媒など最新技術トレンドをすべて備えている。M40dに搭載されるシーケンシャル・ツインターボ仕様は326PS(240kW)/4400rpm、680N・m(69.3kgf・m)/1750-2750rpmを発生、35dに搭載されている直6ユニット(265PSと620N・m)と比べればその増強ぶりは明らかだ。ちなみに海外市場向けには400PSと760N・mを誇るクワッドターボ仕様も存在し、「750d」や「X5 M50d」などに搭載されている。

上質なヴァーネスカ・レザーで仕立てられたシート。カラーは写真の「コニャック」のほか、「ブラック」または「モカ」が選べる。
上質なヴァーネスカ・レザーで仕立てられたシート。カラーは写真の「コニャック」のほか、「ブラック」または「モカ」が選べる。拡大
極太のリムが特徴的なステアリングホイール。スポーク部にはカーオーディオやアダプティブクルーズコントロールの操作スイッチが並ぶ。
極太のリムが特徴的なステアリングホイール。スポーク部にはカーオーディオやアダプティブクルーズコントロールの操作スイッチが並ぶ。拡大
「X3 M40d」の給油口(写真右)。左に見える青いキャップは、排ガスを浄化するためのAdBlue(アドブルー)の投入口。
「X3 M40d」の給油口(写真右)。左に見える青いキャップは、排ガスを浄化するためのAdBlue(アドブルー)の投入口。拡大

スポーツカーも顔負け

BMWといえばシャープで滑らかな6気筒が代名詞といわれてきたが、実は最新の4気筒ディーゼルも驚くほどの見事なエンジンである。特に新型「3シリーズ」に搭載されているB47型はターボチャージャーがこれまでのシングルから、大小2基のターボが回転数と負荷に応じて働くシークエンシャル・ツインターボに置き換えられており、レスポンスが向上している。

動き出しからスイッと身軽に反応し、またその先もトップエンドに至るまでまったく頭打ちになる気配を見せず、リミッターが作動する5000rpmまでストレスなく吹け上がる。これならもう6気筒でなくてもいいんじゃないか、と思ったが、6気筒はやはり一枚も二枚も上回る。その滑らかで緻密な回転フィーリングは別格で、知らなければそれで済ませられるが、一度味わってしまったら戻れない魅力を備えている。普通のディーゼルエンジンの場合は、リミットのかなり手前で苦しくなるのでそもそも回す気にはならないものがほとんどだが、M40dはディーゼルとは思えないほど軽々とシャープに回るので、ついギリギリまで引っ張ってしまいがち、あげくもうリミットなのかと気づかされるといった具合だ。

もちろん、普通に走る際には2000rpmも回さなくとも自由自在のパワフルさだ。洗練された8ATの助けもあって、低速での微妙なコントロール性と滑らかさ、全開時の鮮烈でパワフルな吹け上がりを併せ持ち、どんな場面でも不足を感じることがない。ちなみに2t近い車重にもかかわらず、0-100km/h加速は4.9秒と、その辺のスポーツカー顔負けの俊足を誇る。

どんな場面でも力不足を感じさせない「X3 M40d」。0-100km/hの加速タイムは4.9秒となっている。
どんな場面でも力不足を感じさせない「X3 M40d」。0-100km/hの加速タイムは4.9秒となっている。拡大
2眼タイプのメーターパネル。立体的なリムと液晶画面が組み合わされている。
2眼タイプのメーターパネル。立体的なリムと液晶画面が組み合わされている。拡大
トランスミッションは8段AT。バイワイヤ式シフトレバーのすぐ隣に走行モードのセレクターがレイアウトされる。
トランスミッションは8段AT。バイワイヤ式シフトレバーのすぐ隣に走行モードのセレクターがレイアウトされる。拡大
後席は40:20:40の分割可倒式でリクライニングも可能。「M40d」の場合、シートヒーターも備わる。
後席は40:20:40の分割可倒式でリクライニングも可能。「M40d」の場合、シートヒーターも備わる。拡大

もっとしなやかなほうがいい

BMWのSUVは基本的にオンロードでのスポーティーなハンドリングが特長であり、MパフォーマンスモデルのM40dとなればなおさら俊敏だ。ワインディングロードでも当然切れ味鋭く、またxDriveのおかげでぬれた山道でもせいぜい後輪がジリッと揺れるぐらいで安定感は抜群だ。

それよりも問題はやはりちょっと硬すぎる乗り心地である。21インチのランフラットタイヤのせいというよりも、締め上げられた足まわりのために、モードを問わず路面が荒れている一般道では容赦なく上下に揺すられる。

もちろん、ラフなバイブレーションなどは一切感じられないが、スムーズな路面の高速道路での快適さとはまったく別の顔をのぞかせるのだ。人によっては、路面の凸凹をひとつひとつ踏みつぶして行くような屈強な足まわりこそドイツ車らしくて頼もしいと歓迎するかもしれないが、あくまでSUVなのだからもう少し穏やかでしなやかなほうがいいのではないか。ついでに言えば、例によってハムのようにリムが太すぎるMスポーツ・ステアリングホイールも何とかしたいところである。実はこの辺りが、鍛え上げた筋肉を前面に押し出さないアルピナとの最大の違いかもしれない。(後編に続く)

(文=高平高輝/写真=荒川正幸/編集=関 顕也)

Mパフォーマンスモデルである「X3 M40d」。その足まわりは、専用チューニングが施されたサスペンションや「Mスポーツブレーキ」などでスポーティーに仕立てられている。
Mパフォーマンスモデルである「X3 M40d」。その足まわりは、専用チューニングが施されたサスペンションや「Mスポーツブレーキ」などでスポーティーに仕立てられている。拡大
「Mライト・アロイ・ホイール・ダブルスポーク・スタイリング718M」と名付けられた「X3 M40d」の21インチアルミホイール。
「Mライト・アロイ・ホイール・ダブルスポーク・スタイリング718M」と名付けられた「X3 M40d」の21インチアルミホイール。拡大
後編では“兄弟”ともいうべきもう1台のSUV「BMWアルピナXD3」(写真奥)の走りをリポート。それぞれの違いを浮き彫りにする。
後編では“兄弟”ともいうべきもう1台のSUV「BMWアルピナXD3」(写真奥)の走りをリポート。それぞれの違いを浮き彫りにする。拡大
BMW X3 M40d
BMW X3 M40d拡大
センターコンソールのトレー。スマートフォンの非接触充電機能が備わる。
センターコンソールのトレー。スマートフォンの非接触充電機能が備わる。拡大
横長のセンターモニターは10.25インチサイズ。かざした手先の動作で特定の機能が操作できる「BMWジェスチャーコントロール」もオプションで用意される。
横長のセンターモニターは10.25インチサイズ。かざした手先の動作で特定の機能が操作できる「BMWジェスチャーコントロール」もオプションで用意される。拡大

テスト車のデータ

BMW X3 M40d

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4725×1895×1675mm
ホイールベース:2865mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:326PS(240kW)/4400rpm
最大トルク:680N・m(69.3kgf・m)/1750-2750rpm
タイヤ:(前)245/40R21 100Y/(後)275/35R21 103Y(ブリヂストン・アレンザ)
燃費:14.9km/リッター(JC08モード)
価格:901万円/テスト車=901万円
オプション装備:なし

テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:9370km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:203.4km
使用燃料:18.8リッター(軽油)
参考燃費:10.8km/リッター(満タン法)/10.8km/リッター(車載燃費計計測値)

BMWアルピナXD3
BMWアルピナXD3拡大

BMWアルピナXD3

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4720×1895×1675mm
ホイールベース:2865mm
車重:2120kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ディーゼル ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:333PS(245kW)/4000-4600rpm
最大トルク:700N・m(71.4kgf・m)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)255/35ZR22 99Y/(後)285/30ZR22 103Y(ピレリPゼロ)
燃費:12.6km/リッター(JC08モード)
価格:1115万円/テスト車=1302万9000円
オプション装備:ボディーカラー<ソフィスト・グレー・ブリリアント・エフェクト>(9万5000円)/インテリア<メリノ・タルトゥーフォ>(15万8000円)/ステアリングホイールヒーティング(4万9000円)/電動ガラスパノラマサンルーフ(20万6000円)/シートバックレストアジャストメント(2万1000円)/ランバーサポート(5万3000円)/ドライビングアシストプラス(18万4000円)/テレビチューナー(13万8000円)/ヘッドアップディスプレイ(15万6000円)/harman/kardonサラウンドサウンドシステム(9万6000円)/BMW Individualインテリアトリム<ピアノブラック>(10万円)/ヘッドレストにアルピナ文字<型押し>(9万4000円)/ガルバニック・フィニッシュ(2万9000円)/ALPINA CLASSIC 22インチホイール&タイヤセット(50万円)

テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:1万5246km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:282.9km
使用燃料:27.5リッター(軽油)
参考燃費:10.3km/リッター(満タン法)/10.6km/リッター(車載燃費計計測値)

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