“ウイングマーク”のステアリングに見入る

オートモビル カウンシルの出展者は、クラシックカーを得意とする専門店が中心だが、自動車文化の継承にも力を入れるイベントであるため、国産自動車メーカーやインポーターも数多く参加する。

今年の展示で特に力が入っていたのがマツダだ。ニュース的には世界初公開となる「MX-30」のマイルドハイブリッド車が主役だが、個人的に好奇心が刺激されたのは、ずらりと並んだヘリテージカーの展示だった。戦後復興を支え、マツダが自動車メーカーへと飛躍するきっかけとなった三輪トラックをはじめ、マツダ初の四輪乗用車「R360クーペ」や、流麗なスタイルが目を引く上級セダンの初代「ルーチェ」などを出展。ロータリー車も、世界にマツダの名をとどろかせた「コスモスポーツ」、オイルショックや排ガス規制の後の新たなロータリー像を示した「コスモAP」、“マツダロケット”と称された初代「サバンナRX-7」などが飾られた。

皆さんもご存じの通り、今年はマツダの創立100周年にあたり、当初は広島での記念イベントが計画されていた。しかし、新型コロナウイルスの影響を鑑みてやむなく中止に。仕方のないこととはいえ寂しさを感じていただけに、「広島のマツダミュージアムの出張版」ともいうべき充実した展示内容に、大いに気が晴れた。ただ本心では、たとえ来年になろうとも記念イベントを実施してほしいのだが……。

ホンダも改良型「シビック タイプR」とともに、モータースポーツ活動の原点である草創期のレーシングモデルを展示。デビュー戦であった1967年のF1イタリアGPで、いきなり優勝を果たした「RA300」も見ごたえ十分だったが、より興味をひかれたのは、一本のステアリングホイールだった。ホンダがF1参戦のために試作した「R270」に装着されていたものだが、その中央にはなじみの“Hマーク”ではなく、ホンダ二輪の象徴である“ウイングマーク”が輝いていた。これは、当時のホンダがまだ四輪車を市販しておらず、研究所も完全な二輪車/四輪車の独立開発体制をとっていなかったためだ。ステアリングひとつにも時代背景が感じられるのは、まさに文化イベントならではといえるだろう。

2020年1月に創立100周年を迎えたマツダは、最新モデル「MX-30」とともに自社の歴史を彩ってきた名車の数々を展示。
2020年1月に創立100周年を迎えたマツダは、最新モデル「MX-30」とともに自社の歴史を彩ってきた名車の数々を展示。拡大
三輪トラックの「GA型」(中央)と、軽乗用車「R360クーペ」(右)、現行モデルの「ロードスター」(左)。
三輪トラックの「GA型」(中央)と、軽乗用車「R360クーペ」(右)、現行モデルの「ロードスター」(左)。拡大
初代「サバンナRX-7」(左)と「コスモスポーツ」(右)。
初代「サバンナRX-7」(左)と「コスモスポーツ」(右)。拡大
ホンダはモータースポーツを核にブースを展開。左から、往年の二輪レーサー「RC166」、F1マシン「R300」、最新の「シビック タイプR」。
ホンダはモータースポーツを核にブースを展開。左から、往年の二輪レーサー「RC166」、F1マシン「R300」、最新の「シビック タイプR」。拡大
ホンダがF1参戦に際して製作した試作のフォーミュラカー「R270」には、四輪車でおなじみの“Hマーク”ではなく、二輪の“ウイングマーク”が施されていた。
ホンダがF1参戦に際して製作した試作のフォーミュラカー「R270」には、四輪車でおなじみの“Hマーク”ではなく、二輪の“ウイングマーク”が施されていた。拡大
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