webCGプレミアム会員に向けた新企画 『池沢早人師の恋するニューモデル』はじまる

ポルシェ911カレラ(前編) 2020.08.28 From Our Staff 池沢早人師は「ポルシェ911カレラ」をどう評価する? 有料会員向けの記事を特別公開します。
『池沢早人師の恋するニューモデル』と題した連載の記念すべき初試乗車は「ポルシェ911カレラ」。現在「911カレラS」(991型前期)を所有していることもあって、最新モデルが少なからず気になっていたという。
『池沢早人師の恋するニューモデル』と題した連載の記念すべき初試乗車は「ポルシェ911カレラ」。現在「911カレラS」(991型前期)を所有していることもあって、最新モデルが少なからず気になっていたという。拡大
箱根のワインディングロードで「911カレラ」のステアリングを握る池沢先生。迫力あるエキゾーストサウンドに、思わず感嘆の声を漏らした。
箱根のワインディングロードで「911カレラ」のステアリングを握る池沢先生。迫力あるエキゾーストサウンドに、思わず感嘆の声を漏らした。拡大
【ポルシェ911カレラのスペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1300mm/ホイールベース:2450mm/車重:1515kg(DIN)/駆動方式:RR/エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ/トランスミッション:8段AT/最高出力:385PS(283kW)/6500rpm/最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm/タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y/(後)305/30ZR21 104Y(グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック3)/燃費:9.0リッター/100km(約11.1km/リッター、欧州複合サイクル)/価格:1359万7222円

【取材時の燃費データ】
テスト距離:263.4km(市街地1:高速道路7:山岳路2)/使用燃料:41.2リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:6.4km/リッター(満タン法)/6.4km/リッター(車載燃費計計測値)

【ポルシェ911カレラのスペック】
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1300mm/ホイールベース:2450mm/車重:1515kg(DIN)/駆動方式:RR/エンジン:3リッター水平対向6 DOHC 24バルブ ターボ/トランスミッション:8段AT/最高出力:385PS(283kW)/6500rpm/最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1950-5000rpm/タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y/(後)305/30ZR21 104Y(グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック3)/燃費:9.0リッター/100km(約11.1km/リッター、欧州複合サイクル)/価格:1359万7222円
	【取材時の燃費データ】
	テスト距離:263.4km(市街地1:高速道路7:山岳路2)/使用燃料:41.2リッター(ハイオクガソリン)/参考燃費:6.4km/リッター(満タン法)/6.4km/リッター(車載燃費計計測値)
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静かに速いクルマではない

今回試乗してもらうのは、いわゆる“素”のポルシェ911カレラ。トランスミッションはデュアルクラッチ式の8段PDK。“素”といっても、テスト車の場合はオプション込みで1915万0500円というプライスになるわけだが、プライベートで普段から911カレラS(991型前期)に乗っている池沢先生としては、試乗前に「“素”のカレラで、しかもダウンサイジングターボになった911というのは、正直どれほどのものか……」というややネガティブな印象をお持ちだったもよう。

だが箱根のワインディングロードで試乗したことにより、「どれほどのものか」というネガティブな印象(思い込み?)はすべて吹き飛んだのであった。

「まずはね、“音”にびっくりしましたよ。3リッターターボになったということで、『どうせいかにもターボっぽい、軽くて乾いた感じのエキゾーストサウンドしか発しない、静かに速いクルマなんだろうな』なんて思っていました。ところがどっこい、なんですかこの音は? ほとんどNA(自然吸気)じゃないですか! “素”のモデルにさえこうしたエキゾーストサウンドの演出を施してくれて、本当にうれしいですよ」

ほとんどNAですか?
「そうですよ! 僕が乗ってる自然吸気の991のカレラSとほぼ同じ方向性の太く、迫力あるエキゾーストノートであり、それでいてどこか『GT3』にも通じるものがありますね。“駆り立てられるような音質”と言えばいいのかな? 996のGT3からその傾向がみられるような気がするけど、そうした演出はレースシーンでの魅力をわかっているポルシェならではのワクワク感といえますよね」

いや、まさかターボエンジンでこの音が聞けるとは思ってもなかったよ――と何度もつぶやく池沢先生だったが、最新のポルシェ911、しかも“素”のカレラが先生に与えた“驚き”は、音だけではなかった。

先代にあたる991型後期モデルでパワーユニットが従来の3.4リッター水平対向6気筒自然吸気から3リッター水平対向6気筒ターボへとスイッチされた「911カレラ」。992と呼ばれる最新モデルは、従来型よりも15PSパワーアップした385PSの最高出力を発生する。
先代にあたる991型後期モデルでパワーユニットが従来の3.4リッター水平対向6気筒自然吸気から3リッター水平対向6気筒ターボへとスイッチされた「911カレラ」。992と呼ばれる最新モデルは、従来型よりも15PSパワーアップした385PSの最高出力を発生する。拡大
「食いついて、粘る」と最新の「911」の足を評価。乗り心地のよさとスポーティーなハンドリングの両立に池沢先生は舌を巻いたのだった。
「食いついて、粘る」と最新の「911」の足を評価。乗り心地のよさとスポーティーなハンドリングの両立に池沢先生は舌を巻いたのだった。拡大
往年の930型をイメージさせる水平基調デザインを採用したという「911カレラ」のダッシュボードには、最新のインフォテインメントシステムが組み込まれている。
往年の930型をイメージさせる水平基調デザインを採用したという「911カレラ」のダッシュボードには、最新のインフォテインメントシステムが組み込まれている。拡大
池沢先生は「自然吸気の991の『カレラS』とほぼ同じ方向性の太く、迫力あるエキゾーストノート」であると、ターボ化されたフラット6のサウンドを評価した。
池沢先生は「自然吸気の991の『カレラS』とほぼ同じ方向性の太く、迫力あるエキゾーストノート」であると、ターボ化されたフラット6のサウンドを評価した。拡大

路面を捉える力は素晴らしい

「これ、本当に普通のカレラなんだよね? カレラSじゃなくて。今の911カレラって、最高出力は何馬力だっけ? 記憶によれば確か、400PSに少し足りないぐらいだと思ったけど……」

カタログを見ながら「385PSですね」と答えると、漫画界のレジェンドであり元JGTC(全日本GT選手権)レーサーでもある池沢先生はしみじみと言った。
「385PSでこんなにも速いなら、450PSのカレラSはどれだけ速いのよ? って感じだね。いやはや、“素”でこれかぁ……。あとね、この911カレラは足も素晴らしいね。そこにも正直、驚きました」

池沢先生いわく、2020年型911カレラの足は「食いついて、粘る」といったニュアンスであるらしい。
「サーキットとは違って公道は荒れてる箇所もあるじゃないですか? でもこのカレラは、どんな路面であっても対応できる足の動きをする。食いついて、粘って、そして絶対に跳ねないというね。この路面を捉える力は素晴らしいんじゃないかな? いやもちろん、僕が今乗ってる991の足だって素晴らしいんですよ。でも992の足は、より高次元だね。いやはや、なんともこれは……」

自身が乗る991型カレラSとどうしても比べてしまい、そして“負けている”ことを痛感するからだろうか、先ほどから「……まさかここまでイイとは……」と、言葉では表現できない感嘆も多い池沢早人師先生である。

「公道をメインで乗るなら、スチールディスクでも利きは十分」と、「911カレラ」に標準装備されるブレーキの性能を高く評価。
「公道をメインで乗るなら、スチールディスクでも利きは十分」と、「911カレラ」に標準装備されるブレーキの性能を高く評価。拡大
今回試乗した「911カレラ」の「4Wayスポーツシートプラス」(オプション)を指さし「(愛車の)991よりもややコンフォート寄りかな?」とコメントする池沢先生。
今回試乗した「911カレラ」の「4Wayスポーツシートプラス」(オプション)を指さし「(愛車の)991よりもややコンフォート寄りかな?」とコメントする池沢先生。拡大
試乗車に装備されていた「4Wayスポーツシートプラス」は、7万6390円のオプションアイテム。インテリアカラーはブランク×アイランドグリーンのコンビネーション仕上げになっていた。
試乗車に装備されていた「4Wayスポーツシートプラス」は、7万6390円のオプションアイテム。インテリアカラーはブランク×アイランドグリーンのコンビネーション仕上げになっていた。拡大
池沢早人師(いけざわさとし)
漫画家。1968年に『怪童のひびき』で『週刊少年ジャンプ』第1回新人賞佳作を受賞。同誌において1970年の『あらし!三匹』に続き、1975年に『サーキットの狼』を連載。爆発的なヒットとなり、日本中にスーパーカーブームを巻き起こす。一方で自身もレーサーとしてさまざまなカテゴリーのレースに出場。1994年には当時日本のトップカテゴリーのひとつに数えられたJGTC(全日本GT選手権)に「ランボルギーニ・カウンタック アニバーサリー」で、続く1995年には「ランボルギーニ・ディアブロ イオタ」で参戦した。現在『サーキットの狼』の劇中に登場する車両を中心に展示を行う『池沢早人師・サーキットの狼ミュージアム』(茨城県神栖市)の名誉館長も務めている。
池沢早人師(いけざわさとし)
	漫画家。1968年に『怪童のひびき』で『週刊少年ジャンプ』第1回新人賞佳作を受賞。同誌において1970年の『あらし!三匹』に続き、1975年に『サーキットの狼』を連載。爆発的なヒットとなり、日本中にスーパーカーブームを巻き起こす。一方で自身もレーサーとしてさまざまなカテゴリーのレースに出場。1994年には当時日本のトップカテゴリーのひとつに数えられたJGTC(全日本GT選手権)に「ランボルギーニ・カウンタック アニバーサリー」で、続く1995年には「ランボルギーニ・ディアブロ イオタ」で参戦した。現在『サーキットの狼』の劇中に登場する車両を中心に展示を行う『池沢早人師・サーキットの狼ミュージアム』(茨城県神栖市)の名誉館長も務めている。拡大

シートにリクエストあり

「後はね、ブレーキもやっぱり最高ですよ、このクルマ。これ、オプションのPCCB(ポルシェ・セラミックコンポジットブレーキ)じゃなくて、普通の鉄のやつですよね?」

はい、鉄です。
「利きもタッチもスチールディスクで十分というか、十分以上だね。いや、先日サーキットでPCCB付きの『911ターボ』に乗って、それはもちろん素晴らしかったのですが、こと公道メインで走るなら、鉄製のブレーキローターでも十分かな。もちろん、サーキットも走るなら当然PCCBのほうがいいだろうし、あとは“見た目”という問題もあるしね」

見た目の問題ですか?
「うん。利きとタッチは鉄のローターで十分なんだけど、やっぱりセラミックコンポジットの大きなローターが外から見えると、単純にカッコいいじゃないですか(笑)。だから、お金に余裕がある人はPCCBを選んだほうがよりいいでしょうね。でも、繰り返しになるけど利きとタッチは鉄で十分!」

オプション装備といえば、この個体は「4Wayスポーツシートプラス」が装着されていますが、その部分の印象はどうですか?
「う〜ん、僕の991にもスポーツシートプラスが付いていて、あれはもう絶対に選んだほうがいいオプション装備だと思うんだけど、992型のこれはサイドの張りが若干ソフトになった感じで、ややコンフォート寄りかな? 991のそれはサーキットでも本当に体をしっかりホールドしてくれて、それでいて乗降性も全然悪くないんですよ。992型のスポーツシートプラスは、公道レベルのコーナリングでも少しだけ体が横に動く感触がありますね。もう少し(サイドサポート部分に)張りがほしいかな。体をしっかり受け止めてくれたほうが安心感を生むよね」

試乗前に気にされていた、ターボ化によるネガは感じられないという池沢先生。後編ではハンドリングや使い勝手を含め「991乗りの次期愛車候補としてふさわしいモデルなのか」についても語ってもらうことにしよう。

(語り=池沢早人師/まとめ=谷津正行/写真=田村 弥/編集=櫻井健一)

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