SUV化のコストが小さい

ヤリス クロスが価格を抑えた背景には、大きく分けて3つの理由がある。

一番の理由は、ヤリス クロスのクルマづくりがヤリスに近いことだ。ボディーやサスペンションの変更で走りの質は高めたが、これらはヤリスの素性のよさに負うところが大きい。ホイールベースはヤリス クロスが数値上10mm長いが事実上は同寸で、後席の足元空間はヤリスと同様に狭い。

これに比べるとキックスとヴェゼルは、ホイールベースの数値などを含めてベースになったコンパクトカーから改変している部分が多く、コストがかかっている。つまりヤリス クロスは、ライバル車よりもSUV化によるコストが少なくて済むことになる。

またヤリス クロスがキックスやヴェゼルと同じ価格帯だと、実用志向のユーザーから見れば、後席や荷室が狭い分だけ割高感が生じてしまう。価格抑制にはこれを避ける意図もある。

2つ目の理由は、今後ヤリスをベースにした複数のコンパクトカーが登場することだ。かつての「ファンカーゴ」に相当する背の高いコンパクトカーなどを割安な価格で投入するから、ヤリス クロスもあらかじめ割安な設定にして、価格バランスを整えておく必要があった。

価格は同じブランド内における商品のヒエラルキーを決める重要な要素だから、今後のコンパクトカー戦略も考えて、ヤリス クロスの価格を決めている。その結果、ライバル車よりも割安になった。

「ヤリス クロス」のシートレイアウト。ボディーは「ヤリス」よりも240mm長いが、ホイールベースはほぼ同寸のため絶対的には広くはない。
「ヤリス クロス」のシートレイアウト。ボディーは「ヤリス」よりも240mm長いが、ホイールベースはほぼ同寸のため絶対的には広くはない。拡大
「ヤリス クロス」のラゲッジスペース。左右で高さを変えられるデッキボードを採用するなどしてスペースを稼いでいる。
「ヤリス クロス」のラゲッジスペース。左右で高さを変えられるデッキボードを採用するなどしてスペースを稼いでいる。拡大
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