知る人ぞ知るハイパーカー界の“顧客情報”

この手のスーパースポーツカーの場合、積極的に買う層はほとんど決まっている。どんなにお金持ちでも、過去にスーパースポーツを買った経験のない人が、一般的に知られていないブランドに手を出すことなど、まず考えられない。そもそもそういう情報を得ることもない。最初は誰しもフェラーリやランボルギーニのディーラーを訪問するもの。いきなりゴードンは、ない。

ということは、T.50を“あえて”買う可能性のある人たちは、既にある程度決まっていたと考えていい。日本だとそのリストは20名くらいだろうか。フェラーリやランボルギーニの限定車の新車オーダーは基本として、さらにブガッティやパガーニ、ケーニグセグといったクラスのオーダー経験もある、というスーパーカスタマーたち。そんなごく限られた顧客たちは、われわれが直接その名を知らないというだけで、高額車両販売のかいわいではなかなかの有名人だったりする。蛇の道は蛇、というわけだ。

特に今回のT.50の場合には、ゴードンがかつて設計し、今や世界で最も価値あるスーパーカーとなった「マクラーレンF1」を、実は新車時に日本人がよく買っていたという“実績”がある。その人たちの存在を、当然ゴードン側も無視するわけにはいかなかったはず。過去にF1を所有した人が今も全員スーパーカーに興味を持っているとは限らないが、現所有者や最近まで持っていた人ならば食指が十分に動いたはず。さらにはF1の価値の暴騰ぶりを見るにつけ、もう一度買っておこうという気になった元ユーザーも多かったのではないか。

カーボンモノコックのボディーに6.1リッターV12エンジンを搭載した「マクラーレンF1」(1993-1998)。同車の設計もゴードン・マレーが手がけた。
カーボンモノコックのボディーに6.1リッターV12エンジンを搭載した「マクラーレンF1」(1993-1998)。同車の設計もゴードン・マレーが手がけた。拡大
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