BMW F900Rプレミアムライン(MR/6MT)
人生 前のめり 2020.09.28 試乗記 パラレルツイン(並列2気筒エンジン)を搭載した“BMW Fシリーズ”の新作「F900R」。モデルチェンジにより新しいエンジンを得たBMWのミドルクラス・ネイキッドは、よりスポーティーに、アグレッシブにライディングを楽しむためのバイクに変貌を遂げていた。本領は3000rpmを超えてから
BMWのパラレルツインは、このF900Rでずいぶん雰囲気が変わった。進化したというよりも路線変更と言ったほうがいいだろう。ミドルクラスの何にでも使える万能ネイキッドから、気合の入ったスポーツネイキッドになっていたのである。
従来モデルの「F800R」はとても完成されていて乗りやすいマシンだったが、このクラスには強力なライバルが多く、いざ購入しようと考えたとき、決定打に欠けていた。そこでF900Rではエンジンを「F850GS」由来の新しいものに変更。360°だったクランクは270°となり、100ccほど排気量をアップすることでパフォーマンスを引き上げている。
ストリートで最初に走りだしたとき、違和感があったのは低回転からのレスポンスが抑えられていることだった。まろやかなのはいいけれど、900ccクラスのツインらしい力強さはない。マネジメントで意識的に味付けされているのだと思うが、ストリートで低回転を使い、元気に走ろうとすると物足りなくなる。
ところがこのエンジン、3000rpmに到達しようとするあたりからがぜん元気になってくる。4000rpmからレブリミットである8500rpmまでのトルクは素晴らしく、それまでのF800Rよりワンランク上の加速をする。この回転域ではフラットに高いトルクを発生しているから、スロットルを開ければどこからでもマシンが力強く押し出される。またそのレスポンスは開け始めに過敏さがなく、スロットルをひねりやすい特性。このトルクと扱いやすさがあるから、コーナーからの立ち上がりではライダーの意思に忠実にエンジンが反応する。