トヨタ・ヤリス クロス ハイブリッドZ(後編)

2020.10.22 谷口信輝の新車試乗 谷口信輝がハイブリッドの「トヨタ・ヤリス クロス」にワインディングロードで試乗。セールス好調が伝えられる新型コンパクトSUVの仕上がりを、走りのプロはどう評価する?

“わかりやすい”クルマ

人気のトヨタ・ヤリス クロスを前にして細部の仕上げへの強いこだわりを示した谷口信輝。後半では、試乗した印象を語ってもらうことにしよう。
「決してものすごく速いクルマというわけじゃありませんよね」

箱根の急坂を上りながら、谷口はそう指摘した。
「でも、このエンジンは1500ccでしょ? 自然吸気の1500ccだったらこんなもんというか、なかなかよく走るほうだと思いますよ」

谷口はそう口にすると、試しにアクセルペダルを強く踏んでみせた。
「ほら、アクセルを踏むと、タコメーターの針が上がるよりも早くぐっと背中を押される感じがありますよね。あれって、ハイブリッドシステムのモーターが生み出している力じゃないですか。つまり、ヤリス クロスは1500ccのエンジンパワーをモーターで補っているんです。なかなかうまくできていますね」

THSと呼ばれるトヨタ方式のハイブリッドシステムは、かつて加速当初の「ヌメッ」とした感触が「ラバーバンドフィール」と指摘され、改善を求める声が少なくなかったようだが、トヨタはヤリス クロスにこれまで以上に強力なエンジンとモーターを搭載することでラバーバンドフィールの解消に努めた。その努力が報われた格好である。

続けて谷口は「コーナリングは思ったよりも安定していますね」と指摘した。
「ヤリスよりも車高が高いからもうちょっと不安定な感じになると予想していましたが、想像以上に安定しています。それと、タイヤの偏平率が50%と小さいから、ハンドル操作に対する反応も鈍くさくない。だからといってシャープなわけでもないけれど、なかなか正確なステアリングですよ。イメージ通りの回頭性で、ステアリングを切ると狙ったところに狙った姿勢でいける。おかげで、走り始めた直後から『ああ、こういうクルマね』ってすぐに理解できる。わかりやすいクルマですね」

それは褒め言葉なのだろうか?
「どんなドライバーが乗ってもすぐになじめるという意味では、とてもいいんじゃないですか。エンジン、ハンドリング、ブレーキ、どこをとってもクセがなくていいと思います。まあ、クルマの運転に強いこだわりを持っている人だとすぐに飽きちゃうかもしれませんが、そういう部分を求めるクルマじゃありませんからね。あと、ハンドルがよく切れて小回りが利く点は気に入りました。これ、僕にとっては重要なポイントですから……」

 
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