触覚で機器と意思疎通を図る

ここで技術的に注目すべきは、操作内容を多彩な振動で手元にフィードバックする「ハプティック」だ。ディスプレイを使ったスイッチは多種多様な機能を盛り込める反面、メカニカルスイッチと違って触覚だけで操作することが難しい。特にドライバーが操作する類いのものは、わき見運転の原因にもなり得る。今後ますます自動車のIT化が進む中で、ハプティクス(触覚)は安全性と快適性のために欠かせない、非常に重要な技術なのだ。

アルプスアルパインは半世紀前から触覚の技術に取り組んでおり、2001年には世界で初めて自動車に同社の触感デバイスが採用されたことでも知られる。2021年1月から量産開始予定の「ハプティック リアクタ Heavy Type」は本体サイズが33mm×23mm×13mmと小型ながら、強い振動力を誇り、さまざまな車載操作機器の操作フィードバックに活用可能。ディスプレイの裏に隠れた黒子的存在だが、安全に大きく貢献することが期待される。

キャビン内に話を戻すと、先述の曲面ディスプレイなどと並んで大きな存在感を放っているのが、天井の大型ディスプレイだ。エンターテインメント系のコンテンツを楽しんだり、カーナビを見ながら同乗者と行き先を相談したり、さまざまな使い方ができる。またデジタルキャビンでは光や音の多彩な演出も可能で、移動体験を充実したものにしてくれるという。

このように、将来自動車には多種多様なIT機器が盛り込まれ、また自動運転/運転支援装置に関連するセンサー類も増加していくものと思われる。当然ながら、情報処理の負荷は大きくなる一方だ。今日のクルマには一台あたり100個から200個ものECU(Electronic Control Unit)が搭載されているというが、今後はますます設計が煩雑になることから、これらを集約するためにアルプスアルパインでは統合ECU「HPRA(High Performance Reference Architecture)」の開発に取り組んでいる。この統合ECUであれば、一台あたり数個の搭載で済むという。今回の発表はプロトタイプだが、ローンチまでにどこまで技術的進化を遂げるのか。今後の情報を待ちたい。

ハプティクス(触覚)技術とは、振動などの触覚によってドライバーと機器のコミュニケーションを図る技術。アルプスアルパインは「ハプティック」という名称で実用化を進めている。
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アルプスアルパインの「ハプティック リアクタ Heavy Type」。小型ながら、強い振動を発生させることができる。
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「デジタルキャビン」では、天井大画面ディスプレイや、乗員個別に音を響かせるゾーンサウンドなどの技術も紹介されている。
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コネクテッド機能や自動運転技術、高度なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)などの実用化に伴い、膨大な量となる情報処理の“担い手”として期待される統合ECU。
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