BMW R18ファーストエディション(MR/6MT)
飛行機に跨って 2020.11.13 試乗記 1.8リッターという大排気量ボクサーエンジンを搭載したBMWの新しいモーターサイクル「R18」。ネオレトロという言葉では表しきれない美しいクルーザーは、航空機産業を出自とする、BMWの歴史をも感じさせるライドフィールの持ち主だった。往年の名車を巧みにオマージュ
R18は、BMWのフラットツインとしては過去最大排気量となる1802ccのエンジンを搭載したモデルだ。デザインは1930年代の「R5」をオマージュ。BMWとしては久しぶりに登場するクルーザーモデルとなる。クラシックイメージのデザインと仕上げの美しさは素晴らしく、街を走っているだけで多くの視線を集めるほどだ。
跨(またが)ると、左右に張り出した巨大なエンジンが目に飛び込んでくる。車重は345kgもあるが低重心でシートも低いため、バイクを起こす時に重さはさほど感じないし、「支えられなくなるのではないか」というような圧倒される感覚もない。エンジンを止めて取り回す時に重さを感じるくらいだ。
セルボタンを押すと、身悶(もだ)えするように巨大なフラットツインが目覚めた。アイドリングは1000rpmを切っていて、車体が左右にブルブルと震える。アイドリングの時のフィーリングを重視するライダーは少なくない。信号待ちで止まった時、生き物のように車体を揺さぶりながらゆっくりとアイドリングしていると、馬が立ち止まって息を整えているような感じになってきていとおしくなってくる。
走り出すとレスポンスがいいことに加え、フライホイールマスが大きいから、スロットルを開けた時、車体を傾けようとする反トルクも大きい。フラットツインを知らない人が油断してスロットルを開けたら驚くことだろう。
R18には3つのパワーモードがあり、「レイン」「ロール」「ロック」の順番でエンジンが元気になっていく。中間モードのロールを選択し、ギアをローに入れる。トルクがあるから回転など上げなくてもスタートは簡単だ。クラッチをつないで軽くスロットルを開けるだけで、重さがなくなってしまったのではないかと思うような勢いで加速していく。