好調なEVのセールスを支えているもの

こうした現状から、「日本メーカーはEV化で遅れている」という報道も相次ぐ。例えば2020年10月27日付の日本経済新聞は『排出ゼロ、日本企業転換迫られる EV・燃料電池車遅れ』と題する記事を掲載。「日本勢のEVでの挽回に時間がかかる可能性がある」と指摘する。

ただ、筆者は欧州でのEVの勢いがこのまま持続する可能性は低いと見ている。というのも、現在のEV販売は補助金で支えられているからだ。ドイツでは2020年7月から2021年末までの期限付きで、4万ドル以下のEVの補助金をこれまでの3000ユーロから6000ユーロに倍増するという政策が導入された。この6000ユーロに加えて、メーカー負担の補助金が3000ユーロあり、合計額は9000ユーロ(1ユーロ=125円換算で112万5000円)にも達する。

これにより、ほぼエンジン車との価格差が消えるので、EVの維持費の安さ(燃料代に対する電気代の安さ、オイル交換が要らないなど整備費の低さ)も相まって販売が伸びているのだ。ホンダeとマツダMX-30は、航続距離が200km程度(WLTPモード、Extra-highフェーズあり)と欧州の競合車種に比べて短く、エンジン車のようには使えないのがネックになって、この波に乗り切れていないと考えられる。

しかし、こうした補助金政策は持続可能ではない。ドイツの国内自動車市場は正常時で約360万台だから、この10%がEVになれば36万台となり、一台6000ユーロずつ補助金を支給するとすれば総額は21億6000万ユーロ(1ユーロ=125円換算で2700億円)という巨額なものになる。しかも、今後EVの比率が増加すれば予算はそのぶん膨れ上がる。したがって2022年以降に同レベルの補助金が支給される可能性は低いだろう。そうなれば、EV販売は失速する可能性が高い。実際、EVに対する補助金が2019年に半減した中国では、その販売が急減した。 

ドイツでは、車種によってEVに100万円以上の補助金が支給される。欧州でのEVブームは、エンジン車との差額を埋める補助金によって支えられているのだ。
ドイツでは、車種によってEVに100万円以上の補助金が支給される。欧州でのEVブームは、エンジン車との差額を埋める補助金によって支えられているのだ。拡大
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