レクサスLC500コンバーチブル(FR/10AT)
この音を聴いてくれ 2020.12.02 試乗記 レクサスの最上級スペシャリティーモデル「LC」に、待望の「コンバーチブル」が登場。満を持してリリースされた、現行レクサスで唯一のオープントップモデルは、ライバルとは趣を異にする“ユニークな魅力”の持ち主だった。クーペの3年遅れとは
レクサスLCへのコンバーチブルの追加は、『webCG』での渡辺敏史さんを筆頭に多くの先生方が書かれているように、やっと……である。LCクーペの市販型が世界初公開されたのが2016年1月のデトロイトショーで、国内発表・発売が翌2017年の3月だった。そしてコンバーチブルのコンセプトが登場するのが、クーペ初公開からちょうど3年後となる2019年1月のデトロイトである。そして、同じ2019年11月のロサンゼルスショーに合わせて市販型が公開されて、今年2020年6月に正式な国内発表(発売は7月)をむかえた。
クーペに遅れること3年3カ月である。このスケジュールには新型コロナウイルスの影響もあっただろうが、コンセプトの公開時期を見るに、初期段階から“クーペの3年遅れ”という時間軸で企画開発されてきたと思われる。そう考えると、このコロナ禍にあって、当初予定から3カ月しか遅らせなかった点は、トヨタの底力を称賛すべきなのかもしれない。
ただ、この種のラグジュアリーなパーソナルカーは“旬のもの”でもあり、富裕層は総じてせっかちだ。聞くところでは、LCから使われた「GA-L」プラットフォームの熟成に人員をさいていたことも、3年という歳月を要した理由だという。しかし、こうした車型バリエーションの追加設定は、数カ月から半年くらいのタイムラグが業界の相場である。企画段階から年単位のラグを想定することからして悠長にすぎるし、3年とはあまりに気が長い。
ただ、その出来上がりは見事なものである。LCの特徴的なウエストラインやヒップラインを崩さずにトップを収めた造形はたいしたものだし、ルーフを閉じたときのクーペ的な形状も流麗だ。さすがに空間や着座姿勢は犠牲になっているが、後部座席をきちんと残したのも、この種のクルマの流儀をわきまえている。これはクーペの設計当初から、給油管の配置など、コンバーチブル化を想定したパッケージレイアウトにした恩恵でもあるそうだが、であればなおさら3年もかかるとは……(しつこい?)。
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