フィアット・パンダ クロス4×4(4WD/6MT)
戦わずして勝つ 2020.12.09 試乗記 「フィアット・パンダ」のクロスオーバーモデル「パンダ クロス4×4」が日本に上陸。黄色いボディーにまるで開発テスト車のようなフロントマスクを組み合わせたド派手な個性派の実力を、高速道路や林道で試してみた。由緒正しい商品名
「4×4」は1980年代~90年代に販売された初代から、2003年~2011年の2代目、そして現行3代目にいたるまで、フィアット・パンダにかならず用意されてきた定番バリエーションである。今をときめく欧州スモール/コンパクトSUVの多くが4WDをつくらないのは「欧州ではニーズがほぼない」が主な理由というが、このクルマだけは例外ということだ。
とにもかくにも、「パンダ4×4」は貴重な存在だ。現行型パンダ4×4は2014年9月が日本初導入で、当時のキャッチフレーズは「国内の輸入車四駆モデルとして最廉価」だった。で、その最安輸入4WDという事実は現在も変わっていない。ちなみに、今現在パンダの次に安価な正規輸入4WDは、同じFCAジャパンが輸入販売する「ジープ・レネゲード」だ。
3ペダルMTの用意しかないパンダ4×4は日本ではあくまでカルトカー的な商品で、しかもすでに長寿商品となりつつあり、カタログモデルとして継続的販売するのはちょっとリスクがある。という理由なのか、日本における現在のパンダ4×4は限定車として発売して、その都度きちんと売り切る……という販売法に落ち着いている。ここ数年は1年に1~2回くらいの発売ペースで、今回のクルマも2019年7月の「スッコーサ」以来、約1年3カ月ぶりのパンダ4×4ということになる。
ただし、今回のパンダ4×4は現行型としては日本初導入の「クロス」である点には注目である。その容姿や車名からも想像されるように、それは普通のパンダ4×4に、よりSUVらしいエッセンスを振りかけたモデルだ。なんだかハヤリモノに乗った感もあるが、このクルマは初代~2代目に存在していた「クライミング」の後継モデルともいえる。また、パンダ クロスという商品名じたいも2代目途中から使われているから、それなりに由緒は正しい。