自動車メーカーとIT企業が開発競争
こうした予防安全技術と運転支援機能を組み合わせて、総合的に制御すれば、最終的には自動運転が実現することになる。2013年11月には、トヨタ、日産、ホンダが合同で自動運転のデモンストレーションを行い、安倍首相が助手席で体験試乗をした。2020年4月からは公道での自動運転走行が認められるようになったが、事故が起きた際に法的責任があるのは運転者なのかメーカーなのかなど、解決しなければならない課題は多い。警察庁、国土交通省、経済産業省などの間で法制度などについて検討が続けられている。
高齢化が進むなかで、将来的に自動運転が大きな役割を果たす可能性は高い。交通事故死者に占める65歳以上の高齢者の割合は、2010年に50.3%となった。2012年からはその過半数を高齢者が占める状況が続いており、今後さらに増えることも考えられる。地方では自動車がなければ生活できない集落もあり、自動運転は高齢者が安心して生活するために求められている技術なのだ。
自動運転の研究は世界中の自動車メーカーが行っていて、新たな技術開発競争のステージになっている。IT企業のグーグルもいち早くこの分野に進出していて、2014年6月にはハンドルもアクセルもない試作車を公開した。データを解析して制御につなげるのはIT系の会社が得意とするところで、自動車メーカーと主導権を争いながら共同の道が模索されている。
2020年11月に、ホンダが自動運転レベル3の型式指定を国土交通省から取得した。ドライバーによるシステムの動作状況や周辺環境の監視が必要だったレベル1、2と違い、特定条件下では“機械任せ”による運転が可能になる。このシステムを搭載した「レジェンド」が発売されると、自動運転レベル3をクリアした世界初の市販モデルとなるわけだ。しかし、そこから先、特に完全自動運転のレベル5に至る道は誰も見通せていない。
自動運転の実現のためには、道路や情報システムなどのインフラ整備が欠かせない。各国の政府や行政の対応と合わせ、自動運転の将来をどう描いていくかが、10年後、20年後の自動車産業の構図を左右することになる。
(文=webCG/イラスト=日野浦剛)
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