ポルシェ・カイエン ターボ クーペ(4WD/8AT)
デキる中間管理職 2020.12.21 試乗記 全車がターボエンジンを搭載する「ポルシェ・カイエン クーペ」だが、車名に“ターボ”を冠した「カイエン ターボ クーペ」は格別だ。純内燃機関モデルでは最強の最高出力550PSのV8ツインターボと、ポルシェならではのシャシー性能を味わってみた。こだわりのシート表皮
4リッターV8ツインターボを積んだカイエン ターボ クーペだが、今回の試乗車では、昨2019年の国際試乗会にも供されて鮮烈なイメージを残した「ラバオレンジ」の外板色と、ポルシェでは「ペピータ」と呼ばれる千鳥格子のシート生地の組み合わせが再現されていた。このカラーリングに好事家の心がザワザワする理由は、ラバオレンジといえば2015年の「911 GT3 RS」などのハードコアスポーツカーの印象がいまだに強いことに加えて、なんといっても、このシート表皮のデザインだろう。
歴代911はいつも挑戦的なシート表皮デザインを世に問うてきたが、この千鳥格子ファブリックをブラックレザーではさむシートデザインは、1960年代の初代911を象徴するものだ。本国のポルシェミュージアムが収蔵する現存最古の911とされる1964年型も、千鳥格子シートに深紅の車体色の組み合わせである。すこぶるつきのマニアは、今回のカイエン ターボ クーペにその面影を感じ取るかもしれない。
ちなみに、このクラシカルな千鳥格子シートは厳密には「スポーツデザインパッケージ」と呼ばれるものであり、このカイエン ターボ クーペでは約160万円の「ライトウェイトスポーツパッケージ」の一部となる。ライトウェイトスポーツパッケージはその名のとおり、標準のガラスルーフ(カイエン クーペには一般的な金属ルーフの用意はない)より25kg軽いカーボンルーフや遮音・吸音材の一部省略などの軽量化策が中心となるが、ほかにも22インチのGTデザインホイールやスポーツエキゾーストシステム、リムがアルカンターラ巻きとなるヒーター付きスポーツステアリングなどが含まれる。
……と、シート表皮の柄ひとつでも、その背景を語り出したらあっという間に文字数が増えてしまうのが、いかにもポルシェである。