アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター(FR/8AT)
心を揺さぶるリアルスポーツ 2021.01.04 試乗記 新世代の「アストンマーティン・ヴァンテージ」にオープントップバージョン「ロードスター」が登場。早速ステアリングを握った筆者は、予想以上の官能性あふれる走りに、すっかり夢中になったのだった。ブランド躍進の立役者
アストンマーティンの経営の歴史はそれこそ紆余(うよ)曲折を経ているが、2020年にはカナダの大富豪にしてレーシングポイントF1チームのオーナーであるローレンス・ストロール氏が大株主となり、会長に就任。来季からは同F1チームがアストンマーティンのワークスチームになるなど、最近も大きな動きがあった。
2014年にアンディ・パーマー氏がCEOになってからリリースされたニューモデルの評価は上々で、販売台数も順調に伸びて上昇気流に乗ったかにみえたが、2018年に株式上場したのはつまずきの始まりだったのかもしれない。いずれにせよ、現在は経営の安定化が図られている。野心的なニューモデル投入計画も一部変更がありながらも、基本は守られることになっているようなので、ひとまずは安心。イギリスのメーカーなのだから、F1参入で士気も上がるだろう。
そんな近年のアストンマーティンの躍進を支えたのがヴァンテージだ。エントリーモデルにして、最も走りを重視したリアルスポーツ。2018年のフルモデルチェンジのとき、最新型に試乗した際には、大きく進化していたことに驚いた。それよりも古い世代のアストンマーティンは、路面をはじめ走行環境がばっちりと合っていれば高いポテンシャルを発揮する反面、そうでなければ扱いにくいこともあった。ウエット路面のサーキットでは接地感がなくてあまり攻める気になれないなど、ややトリッキーだったのだ。ところが現行のヴァンテージは状況にあまり左右されずに、ポテンシャルを引き出しやすいモデルに進化していたのである。