ポルシェ718ケイマンGTS 4.0(MR/6MT)
いいに決まってる 2020.12.29 試乗記 4リッターの水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載する「ポルシェ718ケイマンGTS 4.0」に試乗。従来型「GTS」の2.5リッター4気筒ターボでは味わうことのできない、新たなパワーユニットならではのパフォーマンスと魅力に迫った。4気筒だから「718」のはずでは?
前々からそうだとは思っていたが、やはりまったく信用ならないメーカーである。こう言うと語弊があるかもしれないが、もし私が従来型718ケイマンのオーナーだったら、それはないよ、ずいぶんじゃないか、と恨み節のひとつも言いたくなるだろう。かわいさ余って何とかというやつだ。
何しろ「ボクスター/ケイマン」シリーズは4年前のモデルチェンジで、4気筒ターボエンジンを搭載する「718」系に生まれ変わったはずである。反発も当然あるだろうが、よくぞ思い切ったものだ、とポルシェの決断に理解を示したにもかかわらず、である。まあ、それはあなたの勝手な思い込みと言われればそれまでだ。
ご存じのようにポルシェのGTSはノンターボ系の最上級グレードという位置づけだったが、ポルシェが言うところのライトサイジングターボ化によって、ほとんどすべての車種がターボユニットを積むようになってからややこしくなった。従来型ボクスター/ケイマンGTSも最高出力365PSと最大トルク420N・m(6段MT仕様)を生み出す2.5リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載していた。
ところが、案の定というべきか、718ボクスター/ケイマンシリーズのフラッグシップモデルとして一足早くデビューした「718スパイダー」「718ケイマンGT4」に続いて、新型GTSシリーズにも基本的に同じ自然吸気の4リッター6気筒エンジンが積まれることになった。それを聞いて、やっぱりね、とつぶやいた人も多いはずである。
4年前、2.7リッターと3.4リッターの自然吸気フラットシックスに代えて水平対向4気筒ターボを積んで718ボクスター/ケイマンシリーズに生まれ変わった4世代目は、例によって一段と性能が向上してはいたものの、2リッターおよび2.5リッターの4気筒水平対向ターボエンジンそのものは、回して爽快とは言い難いエンジンだったからだ。
もちろん、時を同じくして大黒柱たる「911」シリーズも3リッター6気筒ツインターボに換装(「GT3」系を除く)、いわゆるダウンサイジングターボ化(ポルシェはライトサイジングと呼ぶ)に大きく舵を切ったのは、CO2排出低減という避けられない課題に対処するためだったことは言うまでもない。
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