トヨタ・ハイラックスZ(4WD/6AT)
人生が冒険なら 2021.01.07 試乗記 日本で唯一、新車で正規販売されるピックアップトラック「トヨタ・ハイラックス」。その車両構成は、ラダーフレームにリーフリジッドのリアサスペンション、最大積載量500kgのベッドと、タフそのものだ。世界各国で活躍するグローバルな一台の魅力をリポートする。ドライバーを奮い立たせる非日常的なカタチ
今にもグーパンチをお見舞いしてきそうな、イカツいけれど愛嬌(あいきょう)も漂う顔つき以上に、全体のシルエットを目の当たりにしてこう思った。
「『トラックの人』になるのも悪くない」
この感想に、「いやいや、トラックなんて!」と拒否反応を示した方におかれては、この先を読むのは時間の無駄かもしれない。ただ、『webCG』を読むほどのあなたなら、クルマで人生が変わったという(強いて言えば奇跡的な)自覚や経験をお持ちだろう。そうした人には、ささくれほどには共感を呼べる、意味と価値のある“何か”をお届けできるかもしれない。
目の前の新しいハイラックスは、そんな不確かだが書き手の意欲を奮い立たせるものを秘めていた。いや、トラックという多くの人にとって非日常的な“カタチ”が執筆意欲の源泉となっているわけだから、ハイラックスからすれば初めから「秘める」も何もないわけだが。
タイからの輸入で2017年に導入を開始し、2020年8月にマイナーチェンジを実施。並行輸入・逆輸入を除き、国内市場では現時点で唯一の新車購入が可能な、トヨタが言うところの“ミドルクラス”のピックアップトラック。これが現行ハイラックスの素性だ。
ミドルクラスとはいうものの、全長が5340mmで全幅が1855mmともなれば、日本の道路ではラージに感じられる。車両重量も2875kgとまさにヘビー級だ。だが、今もってピックアップトラックが市民権を持ち得ているアメリカあたりのフルサイズモデル(という表現でいいのだろうか)を都内で見かけると、相対的な巨大さにたじろぐ。オーナーにしても持て余し気味なのではないかと勝手に心中を察したりもする。であれば現行ハイラックスは、ある意味でピックアップトラックならではのボリューム感を国内で楽しめる、適度にして最大限のサイズかもしれない。実際には、これでも持て余しそうな大きさではあるけれど。
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