プジョー208(FF/8AT)/フォルクスワーゲン・ポロ(FF/7AT)/ルノー・ルーテシア(FF/7AT)
選びたくなる理由 2021.01.09 試乗記 上陸間もない新型「ルノー・ルーテシア」と「プジョー208」、そして「フォルクスワーゲン・ポロ」の欧州Bセグメントモデル3台に試乗。後編では各車の出来栄えに加え、比較してわかったブランドごとの個性の違いや魅力をリポートする。軽やかで爽快なルーテシア
(前編からの続き)
「プジョー208アリュール」と「フォルクスワーゲン・ポロTSI Rライン」に続き、最後にステアリングホイールを握ったのが新型ルノー・ルーテシアの一番高いモデル、「インテンス テックパック」という装備充実の仕様だった。価格は276万9000円で、259万9000円の208アリュールより17万円高い。
もっとも、あちらは1.2リッター3気筒で、こちらは1.3リッター4気筒。最高出力131PS、最大トルク240N・mと、31PSと35N・m強力なガソリンエンジンを搭載している。31PSプラスで17万円高ということは、1PSあたり、たったの5484円。17万円の中には、あちらのタイヤが16インチなのに対して、こちらは17インチという違いも含まれている。リーズナブルじゃありませんか。
新型ルノー・ルーテシアは、とりわけフォルクスワーゲン・ポロから乗り換えると、コンパクトでスポーティーに感じられる。重い外套(がいとう)を脱いだぐらいの違いが感覚的にはある。
実際には、ルーテシアは全長4075mmで、ポロとまったく同じ。全幅こそルーテシアのほうが25mm狭いものの、ホイールベースはルーテシアのほうが30mmも長い。
それなのにルーテシアのインテリアは適度にタイトで、ドライバーは足を伸ばして低く座るスポーツカーポジションをとることになる。後席はプジョー208より頭上空間は広いけれど、膝の空間は同じ程度で、あからさまに前席優先になっている。まるでスポーティーカーのようなのだ、新型ルーテシアは。
運転してもポロの1.5リッター直噴ターボが重厚で緻密な感じなのに対して、1.3リッター 4気筒直噴ターボは、軽やかでスカッとしている。最高出力は131PSと150PSに比べてやや非力ながら、最大トルクは240N・mを発生する。ポロの1.5リッターは250N・mだから、そう遜色ない。
車重は1200kgとポロより10kg軽いだけなのに、軽快感ということではルーテシアに軍配が上がる。車検証のフロント荷重は、ポロもルーテシアも770kgで同じ。ということは、エンジンのキャラクターとかステアリングのギア比とか設定、ペダル類も含めた重さ等によって軽快感をつくりだしていることになる。
乗り心地はポロほど硬くなくて、適度なしなやかさを持っている。タイヤが45偏平の17インチサイズというのはポロと同じだけれど、205mmのトレッド幅は215mmのポロより控えめで、そのぶんドタバタしないだろうし、サスペンションを固める必要もない。
ルノー・日産・三菱のアライアンスのもとで新設計された「CMF(Common Module Family)-B」という同車が初採用モデルとなったプラットフォームの出来もよいのだろう。いかにも低重心なドライビングポジションとあいまって、山道でもさほどロールをみせずに駆け抜ける。デュアルクラッチ式7段オートマチックの変速も素早くてキレがある。
静粛性は3台の中ではピカイチで、静粛性を望む人には見逃せないポイントだろう。新型ルーテシアはスポーティネスと快適性を備えた、ふたりのための小型ハッチバッククーペなのである。
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