ポルシェ718ボクスターGTS 4.0(MR/6MT)
ラストを飾るにふさわしい 2021.01.11 試乗記 自然吸気の4リッター6気筒エンジンを搭載する「ポルシェ718ボクスターGTS 4.0」。その走りは、パワーユニットを共有する上位モデルとも、4気筒ターボエンジンを積むエントリーモデルとも異なる、独自の魅力にあふれていた。環境規制も見据えたエンジン
菅首相の所信表明演説で表明された「2050年カーボンニュートラル」は、国内努力目標ではなくG20では国際公約として明言化された。バイデン政権となったアメリカもパリ協定に復帰し、日本に準ずる目標を掲げることは確実視されている。世界の主要国は一丸となってCO2退治に向かうことになるわけだ。
やれやれ、コロナ退治もまだまだなのに今度はCO2かよ……。お嘆きのクルマ好きの貴兄、うんざりする気持ちはよくわかる。そもそも環境って背後に思惑や利権がどやどやと乗っかっているわけで、しまいにはその意を知ってか知らずか環境ヤクザみたいなのまで跋扈(ばっこ)する始末で……と、ただしたいことは山ほどあれど、今はそういうことを口にするや、人類の敵くくりという世の中的なムードだ。
ともあれ、良識あるクルマ好きの貴兄におかれては、身の回りでできる環境負荷低減を心がけつつ、仮に2030年代半ばまでの大胆なパワートレインシフトが訪れた場合のことを想定しながら、自らの内燃機体験の〆どころを考えてみておくのも悪くないかもしれない。
そんな頃合いに日本に上陸したのが、718ボクスターの「GTS 4.0」だ。その名が示す通り、搭載するエンジンは4リッターの自然吸気フラット6。先代の2.5リッターターボのフラット4からは環境性能的にはむしろ逆行しているようにみえるが、ポルシェの開発エンジニア自ら、この新しいフラット6こそ先々の環境規制を見据えてのベストワンだとおっしゃる。