フェラーリF8スパイダー(MR/7AT)
異次元のプロムナードカー 2021.02.02 試乗記 フェラーリから「F8トリブート」のオープントップバージョンにあたる「F8スパイダー」が登場。ミドシップフェラーリならではの圧倒的なパフォーマンスと、オープンエアモータリングの心地よさを併せ持つ、希有(けう)な一台の魅力に触れた。跳ね馬に見るミドシップオープンの系譜
そもそもレースフィールドから市販車へとフィードバックされた、ピュアスポーツの理想的パッケージ。そんなミドシップレイアウトにオープンドライブのお楽しみを組み合わせたモデルが世に出始めたのは1970年前後のことだ。1世紀以上に及ぶ自動車史の尺度でみれば、今日的でハイカラなぜいたくの表現ということになるだろうか。
フェラーリで言えば初の量産ミドシップとなった「ディーノ206/246」シリーズにタルガトップの「GTS」が加わったのは1971年のこと。その実質的後継モデルともいえる「308/328」世代、そして「348/F355」世代と、このタルガトップスタイルは受け継がれた。が、並行して348/F355世代ではピラーレスのフルオープンを併売。こちらは「スパイダー」を名乗ることで差別化されていた。
その後、ボディー構造に剛性の確保がしやすく上屋の自由度が高いアルミスペースフレーム形式を採るようになったこともあり、「360/F430」世代ではオープンモデルをフルオープンスタイルのスパイダーに一本化。そして「458/488」世代のスパイダーは、それまでのホロ屋根からメタルトップを格納するスタイルへと進化した。
そしてこのF8スパイダーもメタルトップを継承している。開閉方式も同様で、2分割された天板が反転しながら重なり、コンパクトに束ねられながらトノカバーの内に収まっていく。所要時間は開閉ともに約14秒。そして約45km/h以内であれば走行中での開閉も可能だ。