数値よりも感覚を重視
ボディー同色のグリルは、グリルレス的な顔立ちの「フィット」とのイメージの連続性という狙いもあれば、電動化時代を見据えてその存在感を徐々に弱めたいという思惑もあるのだろう。違和感のある人向けにはホンダアクセスがドレスアップパーツとして用意するブラックグリルを装着するという術(すべ)もあるが、個人的には新しさがうまく表現できていると思った。
「デザインはシンプルでクリーンなことを意識しました。前席はもちろん後席にも、乗る人すべてにきちんとドライブの爽快さや開放感を味わってもらいたいという思いがあって、パッケージ担当者も交えながらプロポーションやキャビンの形状をしっかり検討しています」
背高を売りにするSUVは車体側面が平板で分厚く見える傾向があり、視覚的にそれを抑えるべくフェンダーアーチやサイドシルを大きくブラックアウトしたり、アクティブに見せようとグリーンハウスを大胆にキックアップさせたりというグラフィカルな技が盛り込まれがちだ。
が、新型ヴェゼルはあっさりと水平基調でストレートにシルエットが構成されている。Aピラーはやや後方に引いているものの、キャビンや荷室の広さといった美点はしっかり受け継がれており窮屈さは感じない。後席に座ると水平な窓枠が側方から前方への景色をすっきりと見せてくれるだけでなく、グラスルーフを持つグレードならば見上げずとも上方の景色が自然と視界に入ってきて気持ちがいい。
「新しいヴェゼルは、数値的な優劣というよりも、実際の居心地や使い勝手をいいものにするというところにこだわってます。これは前型を所有した経験が生きましたね」
とおっしゃる岡部さんに、初代のチャームポイントとウイークポイントを尋ねてみる。
「初代はSUVにしてクーペのようなパーソナル感とミニバンのようなユーティリティーを実現するというコンセプトを持っていましたが、これはユーザーの皆さんにおおむね受け入れられたのではと思っています。一方でDCTのドライバビリティーや乗り心地の粗さなどを指摘されることもあり、熟成とともに手を加えてきました。新型では初代の美点はそのままに、動的面ではパワートレインの非力感の払拭(ふっしょく)や音・振動面などの進化に注目いただければと思いますね」
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