中古で販売されていた

ここからは、その後の展開を記そう。

パリと同様に、ボロレが自治体と組んでブルーカーによるカーシェアを2013年に開始したリヨン市や、2014年に開始して200台を稼働させたボルドー市でも、2020年8月末をもって廃止された。

フランスで「ボルヌ」と呼ばれる充電ポールは、他のEVカーシェアリングサービスでも利用できるほか、個人所有のEVやプラグインハイブリッド車でも使える。実際にパリでは、そうした転用が開始されている。

いっぽうでサービス用車両のブルーカーは、中古車として民間への売却が始まっている。

パリで使われていた3000台のブルーカーは、当初はその大半が廃棄される予定だったが、2019年7月10日付『ヴァンミヌートゥ紙電子版』によると、ブルターニュの業者が600台を引き取っている。

筆者が調べてみると、その業者とはコダンにあるオトピュズというEVの中古車を得意とする販売店だった。本稿執筆時点でも2015年式・走行7万kmの旧オトリブ用ブルーカーが4990ユーロ(約64万円)で販売されている。

参考までに同店は、ボロレが民間用EVとして新車販売、または長期リースしたブルーカーの中古も扱っている。そちらが約6500~8000ユーロ台であることからすると、やはり旧オトリブの車両は安く設定されている。

リヨンの場合、オトリブで使われていたブルーカーは、サービス終了後にインターネットで販売された。その平均走行距離は5万km程度で、価格は5000ユーロだ。地元メディアは「破格」と報じている。

ブルターニュ地方に住む知人に確認してみたところ、いまだにブルーカーを見たことがないという。だが、一部メディアは高齢ドライバーの街乗り用に人気があると報じている。ボロレの公称では航続可能距離は市街地で250km、郊外で150kmとされるから、そうした用途には十分なのだろう。

販売業者は、専用ケーブルさえあればフランス一般家庭の220V電源でも充電可能であることもアピールしている。

ただし、これまた別のフランス系メディアによると、ブルーカーのリチウム金属ポリマー電池を正常に機能させるためには、温度を常に60度~80度に保たなければならない。そのためには定期的な通電が必須で、そうしないと2~3日後には放電し切ってしまうことを考慮すべきと指摘している。

「ブルーカー」の全長×全幅×全高は3650×1700×1610mm。駆動用モーターの最高出力は68PS(50kW)で、満充電からの航続可能距離は250km(公称値)。
「ブルーカー」の全長×全幅×全高は3650×1700×1610mm。駆動用モーターの最高出力は68PS(50kW)で、満充電からの航続可能距離は250km(公称値)。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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