メルセデス・ベンツS500 4MATICロング(後編)

2021.04.08 谷口信輝の新車試乗 日ごろからさまざまなメルセデス・ベンツ車を経験している、レーシングドライバー谷口信輝。そんな“メルセデス通”を驚かせた、新型「Sクラス」の乗り味とは? プロが感じた走りの特徴についてリポートする。

「言われるがまま」でいい

今回、谷口信輝に箱根のワインディングロードで試乗してもらったのは最新の「メルセデス・ベンツS500 4MATICロング」。乗り始めた直後から、谷口がメルセデスの新しいフラッグシップサルーンに心底ほれ込んでしまったのは明らかだったが、走り屋で知られる谷口のペースはなぜか一向に上がらない。そこで、それまでのコンフォートモードからスポーツモードに切り替えることを提案すると、ここで初めて谷口はSクラスにムチを入れ始めたのだが、いつもと違って谷口がスポーティーなドライビングを楽しんでいるようにはあまり思えなかった。
「うーん、ペースを上げても、全然、大丈夫ですよ。特に、ゴムブッシュにブワブワしたところがないから、全然怖くありません。ただね、僕がいまペースを上げたのは、あくまでもスポーツモードに切り替えたのがきっかけでした」

つまり、谷口は自分の意思というよりはクルマに促されるようにしてペースを上げたということなのか?
「そうですね。まるでお釈迦(しゃか)さまの手のひらの上を飛び回る孫悟空みたいなものです」

Sクラスを走らせている谷口のコメントは、いつもと少し違っているような感じがする。
「そうですか? でもね、さっきから僕は、このクルマに『オレをオマエ色に染めるな。オマエがオレ色に染まれ』って言われているような気がしているんです。つまり、コンフォートモードならコンフォートモードなり、スポーツモードならスポーツモードなりに僕が走らされているような気がするんですが、それが全然いやな感じがしないんです。むしろ、Sクラスの言う通りにしているほうがずっと心地いいんです。あー、このクルマ、本当にいいわあ」

ただし、谷口はSクラスの快適さに身を委ねるだけではなく、サスペンションに関するこんな分析も披露してくれた。
「まず、サスペンションの縮み側と伸び側でダンピングにあまり差をつけていない。だからクルマの動きが読みやすいですね。それと、とにかくサスペンションストロークが長い。それも、沈み込む方向より伸びていく方向のストロークがたっぷりしているように感じます。だからギャップを乗り越えてもタイヤの接地性が薄れるような感じは全然しません。そのいっぽうで沈み側のストローク感も絶妙で、バンプストップラバーに当たる感触は皆無。なんだか『バンプストップラバーには絶対に当てないぞ!』という意気込みがクルマから感じ取れるような、そんな足まわりです」

 
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