BMW M550i xDrive(4WD/8AT)
サイコー! まであと一歩 2021.04.06 試乗記 最新の「BMW 5シリーズ」のなかから、「M5」に次ぐ高性能モデル「M550i xDrive」に試乗。パワフルかつ上質なパワートレインと、タフで洗練された足まわりを併せ持つ一台は、わずかな弱点はあるものの、見事な出来栄えのクルマに仕上がっていた。“M”の増殖が止まらない
BMW車のなかにあってことさらにモータースポーツとの関連性を強調する、おなじみの“純粋なる”Mモデル。一方で、それとは明確に一線を画しつつも、レギュラーラインナップのなかでは圧倒的に高い走りのパフォーマンスとエクスクルーシブ性に富んだ内外装の仕立てを備えているのが、Mの記号に2ケタ、もしくは3ケタの数字を付けた名称を持つ「Mパフォーマンス」とカテゴライズされるモデルだ。
これに加え、かねて存在する「Mスポーツ」ももちろん健在なわけで、正直なところ、ここまでくると「Mの文字を安売りし過ぎ」という印象もなきにしもあらず。
とはいえ、特定の車種ならずブランドそのものがスポーティーな雰囲気を醸し出すのがBMWである。MINIというブランドを射止めた当初からの念願であったに違いない、FFプラットフォームを用いたコンパクトモデルの新展開や、抜き差しならぬ電動化への対応などによって、かつての社是(?)であった「FRレイアウトへのこだわり」「50:50の前後重量配分」などが難しくなっていくなか、特段のスポーツ性をほうふつとさせる「M」なる文字は、BMWにとっては何かにつけて思わず使いたくなってしまう、さながら「魔法の記号」ということになるのかもしれない。
というわけで、ここに紹介する一台は5シリーズのMパフォーマンスモデルであるM550i xDrive。M5系に次ぐ上級モデルであると同時に、レギュラーラインナップではV型8気筒エンジンを搭載した唯一のモデルである。530PS/750N・mという最高出力と最大トルク、1335万円という本体価格は、Mの記号が含まれないひとつ下の「540i xDrive」(340PS/450N・m、1118万円)とは、明確な差がつけられている。
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