マツダMX-30 EVモデル ハイエストセット(FWD)
ウマくて高い! 2021.04.07 試乗記 新型クロスオーバー「マツダMX-30」のラインナップ中、本命と目されるEVバージョンの販売がスタート。早速ステアリングを握った清水草一は、その走りを「EVの中では世界一」と評価する。だが、しかし……!自然なところがすばらしい
マツダ初の量産EV、「MX-30 EVモデル」。その走り味がすごくイイことは、すでにさまざまな媒体で報じられているが、私もまったく同感だ。
EVはバッテリーを床下に敷き詰めるわけだから、低重心でアタリマエ。それを私が初めて体感したのは、「日産リーフ」の開発に使われた初代「キューブ」のEVコンバートモデルだった。まさに目からうろこで、あのキューブがスポーツカーになっていた。EVの低重心は、モーターのトルクと並んで、EV定番の武器である。
が、近年、その低重心が鼻につくようになっていた。具体的には「ジャガーIペース」と「ホンダe」についてなのだが、低重心のメリットは認めるにしても、なにかこうロールセンターが低すぎて不自然な感覚があり、かつ、バッテリーの重みにサスペンションが応えきれていないのか、セッティングをスポーティーに振りすぎているのか、路面のジョイント等を乗り越えると「ドシャン!」という痛いショックを感じるシーンがあった。特にIペースの後席の乗り心地は、1000万円級のクルマとして「えっ!?」というレベルだった。近ごろのEVは低重心に甘えてないか。もう低重心はおなか一杯です。
もうひとつ加えると、モーターのトルクにも満腹だった。1年前、「テスラ・モデル3パフォーマンス」に乗った時のこと。発進トルクがあまりにも強烈に立ち上がるので、本気でムチ打ちのような症状が出た。非常に繊細にアクセルを踏み出さないと、発進で「ガツン!」と前に出すぎて首に痛みが走る。「うわ、これはたまらん……」と思いました。EVの低重心とトルク特性は、もろ刃の剣なのだ。
MX-30 EVモデルは、その点がこれまでのEVとは違う。マツダの開発陣は、EVのネガを熟知したうえで、驚くほど自然な乗り味のEVを開発した。乗り味の良さに関しては、現時点で世界最高のEVだろう。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |