ビヨンビヨン動くタコ

さくらい:すいません、僕の発音が悪いんでしょうか……。
オレ:いやぁ、クルマ屋にはもうこういうのは作れないんだよ! 天下のメルセデスも、このあたりはグーグルとかに丸投げすべきだよ!

せっかく親孝行された老父の気分に浸っていたのに、クレーマー気分になってしまった。結局、手動でなんとか目的地を設定し、Sクラスは一路辰巳PAに向かった。

オレ:ARナビ、どう?
サクライ:目の前でタコがビヨンビヨン動いてます。
オレ:タコ? タコなの?
サクライ:はい、タコです。

よく聞いたら蛸ではなく凧だそうだ。「ゲイラカイト」(古くてスマン)が5個くらい連なってビヨンビヨンと動き、行き先を指示しているという。後で私もやってみましたが、確かにタコでした。

辰巳PAで運転を交代すると、やはりSクラスはSクラスだった。ロングボディーの恩恵か、乗り味の豊潤さはこれぞSクラス。エンジンも、直6ディーゼルはなぜか先代よりそっけなく感じたが、直6ガソリンは相変わらずとろけるような回転フィールが楽しめた。

しかし、先進的なインターフェイスにはなじめなかった。運転中のタッチパネル操作は難しすぎるし危険! なのに音声認識は3歳児レベル! フツーのアナログスイッチなら、ブラインドでもなんとかなった操作が、進歩すると不可能になるっておかしくないか? こんなアタリマエのことを誰も指摘しないのはナゼ? それともオレが古いだけ!?

その時脳裏をよぎったのは、20年と少し前、今は亡き父が最後に買ったクルマ、「トヨタ・プログレ」の思い出だった。

後席で「S500 4MATICロング」の走りを味わいながら、いつもの首都高・辰巳PAに到着。言葉の選択が悪かったのか、あるいは指示の仕方が悪かったのか、結局今回は音声による「MBUX」での目的地設定がうまくできなかった。
後席で「S500 4MATICロング」の走りを味わいながら、いつもの首都高・辰巳PAに到着。言葉の選択が悪かったのか、あるいは指示の仕方が悪かったのか、結局今回は音声による「MBUX」での目的地設定がうまくできなかった。拡大
「ゲイラカイト」のような矢印が、目的地方向を指し示してくれる「ARナビ」の画面。前方のカメラが捉えたリアルタイムの映像上に矢印が表示されるので、複雑な交差点などでも進行方向がわかりやすい。
「ゲイラカイト」のような矢印が、目的地方向を指し示してくれる「ARナビ」の画面。前方のカメラが捉えたリアルタイムの映像上に矢印が表示されるので、複雑な交差点などでも進行方向がわかりやすい。拡大
「S500 4MATICロング」のパワーユニット。最高出力435PS、最大トルク520N・mの「OM256」型3リッター直6ガソリンターボエンジンに、最高出力22PS、最大トルク250N・mの48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。
「S500 4MATICロング」のパワーユニット。最高出力435PS、最大トルク520N・mの「OM256」型3リッター直6ガソリンターボエンジンに、最高出力22PS、最大トルク250N・mの48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。拡大
今回の試乗車には、11.6インチモニターや「MBUX」リアタブレット、ワイヤレスヘッドホン、フットレスト付きエグゼクティブシート(助手席側後席)などがセットになる「リアコンフォートパッケージ」がオプションで装着されていた。
今回の試乗車には、11.6インチモニターや「MBUX」リアタブレット、ワイヤレスヘッドホン、フットレスト付きエグゼクティブシート(助手席側後席)などがセットになる「リアコンフォートパッケージ」がオプションで装着されていた。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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