高級車や高性能車でも生かせる

MINIでは、エンブレムや内外装のカスタマイジングに、AM部品が活用されている。なんと、ユーザーそれぞれの好みでデザインした樹脂系パーツを、一点もののアイテムとしてオーダーすることができるという。自分の名前、好みのロゴやワードなどをオリジナルであしらうことが可能なのだ。また、ロールス・ロイスは「ファントム」に1万点以上のAM部品を採用した。公になっているだけでも、ハザードランプ用の樹脂ホルダー、センターロックボタン、パーキングブレーキなどに使われている。

プジョー、シトロエン、DSといった、かつてグループPSAを構成していたブランドでは、シャシー用パーツのほぼすべてがAM部品でまかなわれている。「DS 3」のインテリアパーツも多くがAM部品だ。またブガッティは「シロン ピュアスポーツ」のエキゾーストパイプを3Dプリンティング技術によって成形したチタン合金製としたことで、従来品に比べ約50kgの軽量化に成功している。もともと高度に職人的なものづくりが求められるプロセスで、その精度に限りなく近いクオリティーが実現できる3Dプリンティング技術は、大変魅力的なのである。

ポルシェでは、ラティス構造(枝状に分岐した格子が周期的に並ぶ構造)を持つ、新開発シートにAM部品を採用。このシートはユーザーの好みに合わせたカスタマイズが可能で、従来のスポーツシートよりも軽量に仕上げることができたという。

さらに驚かされるのは、同社の高性能モデルである「911 GT2 RS」用エンジンの例だ。ポルシェはこれまでにもボディーパーツ製造やプロトタイプ開発のために3Dプリンターを使ってきたが、実際に搭載されるエンジンの製造に活用したのはこれが初のケースとなる。それまでの鍛造ピストンよりも10%ほど軽量になり、パワーも30%増しになったと、メリットばかりが際立つ。複雑な形状でもコストに影響しないとは、感嘆するほかないだろう。

ポルシェが誇るハイパフォーマンスモデル「911 GT2 RS」。その最重要パーツであるエンジンのピストンもいまや、金型よりも成形の自由度が高い3Dプリンターでつくられている。
ポルシェが誇るハイパフォーマンスモデル「911 GT2 RS」。その最重要パーツであるエンジンのピストンもいまや、金型よりも成形の自由度が高い3Dプリンターでつくられている。拡大
「ポルシェ911 GT2 RS」のピストン成形の様子。アルミニウムの粉末をレーザーが溶かし積層していく。
「ポルシェ911 GT2 RS」のピストン成形の様子。アルミニウムの粉末をレーザーが溶かし積層していく。拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事