デンソーが注力する「クロスドメインECU」

従来は、一つひとつのECUがそれぞれの担当する機器を個別に制御していたのだが、最近のクルマでは、こうした機器の壁を越えた「統合制御」が取り入れられている。例えばパワートレインでは、自動変速機が変速するタイミングで、一瞬エンジンの出力を低下させて変速ショックを減らすなど、パワートレインを構成する要素を協調して制御させることが必要になっている。その顕著な例がハイブリッドシステムだ。

機構の構造にもよるが、エンジン、変速機、さらにモーターを備えたハイブリッドシステムでは、この3つがうまく協調して働くように制御しなければならない。このため、パワートレイン全体を統合して制御するECUが搭載されるようになってきた。こうしたECUをデンソーは「ドメインECU」と呼ぶ。同様の考え方のドメインECUとしては、ブレーキやステアリングを統合制御するシャシーECU、メーター表示からナビゲーションの表示、エアコンの制御までを連動させるコックピットECUなどがある。

しかし自動運転車では、さらに「ドメイン」の壁を越えた制御が要求される。つまりパワートレインやブレーキ、ステアリング、さらにはメーター表示などを統合制御することが求められるのだ。こうした、従来のドメインを超えた制御を担うECUが、デンソーの言う「クロスドメインECU」である。同じような考え方のECUは、一般的には「統合ECU」と呼ばれることが多い。

「レクサスLS」や「トヨタ・ミライ」に搭載される、先進運転支援システム「アドバンストドライブ」用のクロスドメインECU。左が「ADS-ECU」、右が「ADX-ECU」。
「レクサスLS」や「トヨタ・ミライ」に搭載される、先進運転支援システム「アドバンストドライブ」用のクロスドメインECU。左が「ADS-ECU」、右が「ADX-ECU」。拡大
「トヨタ・プリウス」に搭載されるパワートレイン。高度なハイブリッド車のパワートレインには、エンジンとモーター、そして両者を介する動力分割機構を統合制御する「ドメインECU」が不可欠となる。
「トヨタ・プリウス」に搭載されるパワートレイン。高度なハイブリッド車のパワートレインには、エンジンとモーター、そして両者を介する動力分割機構を統合制御する「ドメインECU」が不可欠となる。拡大
鶴原 吉郎

鶴原 吉郎

オートインサイト代表/技術ジャーナリスト・編集者。自動車メーカーへの就職を目指して某私立大学工学部機械学科に入学したものの、尊敬する担当教授の「自動車メーカーなんかやめとけ」の一言であっさり方向を転換し、技術系出版社に入社。30年近く技術専門誌の記者として経験を積んで独立。現在はフリーの技術ジャーナリストとして活動している。クルマのミライに思いをはせつつも、好きなのは「フィアット126」「フィアット・パンダ(初代)」「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」「スバル360」「マツダR360クーペ」など、もっぱら古い小さなクルマ。

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