アウディA8 3.0 TFSI クワトロ(4WD/8AT)【試乗記】
二面性あり 2011.04.04 試乗記 アウディA8 3.0 TFSI クワトロ(4WD/8AT)……1317万円
3世代目となったアウディのフラッグシップセダン「A8」。「レクサスLS」を迎え撃つ、3リッターV6モデルに試乗した。
がっしり骨太なインテリア
中央に大きなシングルフレームグリル、その両側に長方形のヘッドランプというアウディおなじみの顔つきのせいか、筆者は勝手に新型「A8」をもっと小さなクルマと思い込んでいたらしい。実物を目の前にしてまず感じたのは、ボディが想像以上に大きいということだった。5145mm×1950mm×1465mmというスリーサイズは、「メルセデスSクラス」や「BMW7シリーズ」「レクサスLS」といったライバルと比べてもわずかに大きい。テスト車が装着していた265/40R20(オプション)という巨大なサイズのタイヤが、ごく普通に見えたほどだ。
そのサイズのおかげで、室内の作りも堂々としている。堂々というのは、ここではダッシュボード、センターコンソール、シートといった各パーツの作りが大きくて、がっしりしているという意味。
骨太感のあるインテリアという点では、Sクラスや7シリーズの上を行くかもしれない。それでいて、そこに広がるスイッチ類や計器類のフィッティング、あるいはウッドやアルミのパネルのフィニッシュは大味になっておらず、非常にきっちりしていて繊細だ。
このいわば男性っぽい豪快さと女性っぽい緻密さが同居しているような二面的な部分は、「A8」のいろいろなところに見出すことができる。
たとえば街中における取り回しのしやすさがそうだ。全幅が2mになんなんとするボディの取り回しがいいわけないと高をくくっていたら、可変ギアレシオのダイナミックステアリングが付いているおかげで、意外やそんなこともなかった。思いのほか小回りが利くことに驚かされた。