アウディRS Q8(後編)

2021.07.15 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 ステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝に「これは文句の付けどころがない」とまで言わせた、アウディの高性能SUV「RS Q8」。その走りのどんなところが、プロの心をとらえたのか?

速いのに難しくない

箱根のワインディングロードをチョイ乗りしただけで、アウディRS Q8の余裕あるコーナリングパフォーマンスと乗り心地のよさを指摘した谷口信輝。後編では引き続きRS Q8の走りについて解説してもらうことにしよう。
「ステアリング上にRSモードってスイッチがありますけど、これはなんですか?」

RSモードは自分の好みに合わせてセッティングしたドライブモードを瞬時に引き出せるスイッチで、「BMW Mモデル」のM1、M2ボタンによく似た機能である。
「なるほど、それだったら試す必要はありませんね。まずはオート、続いてダイナミックを選んでみましょう」

オートであらためて走り始めた谷口が最初に口にしたのが「はやっ!」という言葉だった。しかも、シフトレバーは引き続きDレンジのままで、特別パドルシフトを操作することもしない。これについて尋ねると、谷口からこんな答えが返ってきた。
「最近のクルマはかしこいから、無駄にシフトアップしたあとでまた無駄にキックダウンするなんてこともありません。だいたいにおいて、常に一番いいギアを選んでくれる。だから、僕はマニュアルモードはほとんど使わず、いつもクルマ任せにしていますよ」

スポーツモデルではすぐにマニュアルモードに切り替えてしまう私にとって、谷口の言葉は実に新鮮だった。
「それにしても、このクルマのコーナリングはすごいですね。アウディらしい安心の接地感だし、タイヤがよじれている感覚もまったくありません。それにこの4WDシステムでしょ。ワインディングロードではまったく破綻しないし、サーキットにでも行かない限り、本当のポテンシャルは引き出せないんじゃないでしょうか」

安定しきったコーナリングフォームを示すRS Q8について、谷口は最大級の賛辞を送り続けた。
「すさまじいパフォーマンスを発揮しているのに、運転がまったく難しくない。このクルマ、誰が乗っても同じように速さを引き出せるような気がします。これはアウディに乗るといつも感じることですが、きっと誰もが『オレって、運転がうまくなった?』と思っちゃうハンドリングですよね」

 
アウディRS Q8(後編)の画像拡大
 
アウディRS Q8(後編)の画像拡大
 
アウディRS Q8(後編)の画像拡大
 
アウディRS Q8(後編)の画像拡大
関連記事
  • 「DS 3」のマイナーチェンジモデルが日本上陸 2023.5.23 自動車ニュース ステランティス ジャパンは2023年5月23日、「DS 3」のマイナーチェンジモデルの国内導入を発表し、販売を開始した。デザインのブラッシュアップに加えて機能装備も強化。車名も「DS 3クロスバック」から改めている。
  • マツダ2 15 BD(FF/6AT)【試乗記】 2023.5.20 試乗記 スタイルのよさと走りの楽しさが自慢のBセグメントコンパクト「マツダ2」が、まさかのイメチェン! その新しいデザインには、きたるべき未来に対するマツダの“備え”が現れていた。今年でデビューから9年を迎える、ロングセラーモデルの今をリポートする。
  • 30台限定の高性能セダン「BMW M3 CS」受注開始 2023.5.17 自動車ニュース 最高出力551PS、0-100km/h加速3.4秒を誇る、ハイパフォーマンスモデル「BMW M3 CS」の注文受け付けがスタート。国内における販売台数は30台限定で、デリバリーの開始時期は2023年第3四半期以降が予定されている。
  • メルセデス・マイバッハS680 4MATIC(4WD/9AT)【試乗記】 2023.5.13 試乗記 「メルセデス・マイバッハS680 4MATIC」は内外装の仕立ても見事だが、真に味わうべきはフロントに収められたV12エンジンだ。内燃機関全体の先行きは分からないものの、こうした大排気量のマルチシリンダーユニットに残された時間は少ない。
  • アウディRS Q8(4WD/8AT)【試乗記】 2021.5.7 試乗記 全長5m、全幅2mという巨大なボディーに、圧倒的なパワーを発する4リッターV8ツインターボエンジンを搭載した「アウディRS Q8」。重厚長大という言葉を地でいく巨大で豪速なハイパフォーマンスSUVは、得も言われぬ“勝ち組”感に包まれていた。
ホームへ戻る