それでもアクアは必要か?

2019年までは手堅く上位につけていたアクアの販売台数も、新型ヤリスが登場した2020年には14位にまで急落した。新型アクアにはバイポーラ型ニッケル水素バッテリーといった話題の新技術もあるが、これも遠くない将来にヤリスにも搭載される可能性が高い。それ以外のコンポーネンツは当然ながらヤリス ハイブリッドと共通部分が多く、車体サイズや価格も新型アクアはヤリスとよく似ている。さらに、現在のトヨタの販売戦略は「全販売系列で全車種とりあつかい」に転換しており、以前のように同じジャンルに複数商品を用意する意義は薄れている。ヤリス登場時には一部に「もはやアクアは不要?」という意見があったことも事実だ。

初代アクアは全盛期に「市販車燃費No.1」の座を強固に守り続けていたが、新型アクアのカタログ燃費(WLTCモード)は35.8~33.6km/リッターで、ヤリス ハイブリッドの36.0~35.4km/リッター(ともにFF車の数値)に最初からゆずってしまっている。新型アクアはヤリスより40~70kg重いので当然ともいえるが、かつてのアクアの絶対的価値のひとつが失われたことは事実である。また、海外版のプリウスcは数年前に販売を終了しており、新型アクアはおそらく国内専用色の強い商品と思われるが、最近のトヨタは国内専用車種も大胆に削減している……。

……といった事実を積み重ねるごとに、クルマ事情に詳しい人ほど「それでもアクアは必要か?」という思いが強まるかもしれない。それでも、トヨタはアクアを刷新した。

ここ最近のヤリスはたしかに登録車の販売ランキングで1位を維持しており、今年上半期はついに「ホンダN-BOX」をも抜いて名実ともに国内最量販車になった。しかし、その台数はSUVの「ヤリス クロス」も含んだ数字であり、ハッチバック単独で見ると国内販売が盤石とはいいがたいのも事実である。

いっぽうで、初代が7年間にもわたって国内販売トップ5に入るほど売れたアクアは、莫大な数の既納ユーザーを抱えている。その買い替え需要の一部はなるほどヤリスが引き受けるかもしれないが、その良くも悪くもアクの強いデザインと後席空間を割り切ったパッケージを考えると、すべてをヤリスでまかなえるとは思えない。

新型「アクア」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4050×1695×1485mm(FF車)。ホイールベースは2600mm。これまでは「ヤリス」が「ホンダ・フィット」「日産ノートe-POWER」などと比較されてきたが、これらとサイズ的にライバルとなるのは新型「アクア」である。
新型「アクア」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4050×1695×1485mm(FF車)。ホイールベースは2600mm。これまでは「ヤリス」が「ホンダ・フィット」「日産ノートe-POWER」などと比較されてきたが、これらとサイズ的にライバルとなるのは新型「アクア」である。拡大
「ヤリス」のボディーサイズは全長×全幅×全高=3940×1695×1500mm(FF車)。
「ヤリス」のボディーサイズは全長×全幅×全高=3940×1695×1500mm(FF車)。拡大
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