相変わらずマーケティングが強いメルセデス

自動車業界および関連業界はEUの方針に反対する姿勢を示しているが、政策を覆すほどのムーブメントになるかどうかは分からない。各社とも“Xデー”に向けた技術開発は進めているわけだし、世界の投資家がESGやSDGsを重視するなかで(参照)内燃機関にこだわり続ければ、他社よりも環境対策が遅れていると見られかねない。

これからどうなるかと思っていたところ、ダイムラー/メルセデス・ベンツがオンライン・カンファレンスを開催し、EV専業化を宣言した。EUの戦略発表から6日後というタイミング。メルセデスは相変わらずマーケティングがうまい。EV専業化はアウディやジャガー、ボルボも宣言しており、メルセデスが第1号というわけではないが、EUの政策と同時期に発信したことで、市場に強く印象づけることに成功した。

ただ、メルセデスはこれまで2030年以降もPHVを扱うとしていたので、その意味では惜別の感がある。HVやPHVは日本で普及した技術だが、燃費規制対策に有効であり、「ハイブリッド」という言葉が世界的にエコカーの代名詞と化したことから、この分野は想像以上に多様化した。回生ブレーキを搭載するだけでもハイブリッドと名乗れてしまうのだから、技術の定義があいまい化したと言ってもいいだろう。そうしたなかで、トヨタやメルセデスはHV/PHVの本流といえるモデルで一定の販売台数を保ってきた。相応の投資もしているはずだが、メルセデスは2035年をもってそれらの新車投入を止めることになる。現在の豊富なラインナップを見ると、やはり寂しさはぬぐえない。

メルセデスはEVに必須の電池について、新工場の開設などアグレッシブな計画を発表しているが、内燃機関の開発や製造に携わっていた部門や関係先がどうなるかは気になるところ。これまでに培ってきたパートナーシップや技術をどう未来の産業につなげていくのか、メルセデスならではのストーリーに期待したい。

EVをラインナップするメルセデスEQのモデル群と、ダイムラー/メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス会長。
EVをラインナップするメルセデスEQのモデル群と、ダイムラー/メルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス会長。拡大
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