確かに“右ハンドル”はいいものだけど

さて、この“右ハンでミドシップのコルベット”であるが、案の定というかなんというか、日本で大フィーバーだそうな。300台といわれる初版分は完売御礼で、新規の顧客もがっちりゲット。GMジャパンは本国に日本仕様の増産を要請しており、関係者いわくGM本社もこれに応えようと奮闘しているという。個人的に、アメリカのメーカーはインポーターの声にかたくななイメージが強いので、「右ハンの増産に前向き」というのはちょっと意外だった。よいぞよいぞ。もっと日本市場に心奪われるがいいわ。

……ただ同時に、右ハンドルという理由をしてC8を持ち上げるのは、個人的にちょっと避けようと思った。右ハンの設定というGMの英断はすばらしいことだし、その出来栄えも文句ナシのものだったけど、ここで「右ハンドル、スバラシイネ!」と言いすぎると、「左ハンドルはダメ」という一部の論調を助長してしまいそうだからだ。

普段、左ハンドルのクルマをマイカーとしているワタクシだから、その不便は嫌というほど知っている。有料道路や駐車場での支払いは面倒だし、大通りに左折で出るときなどは、後側方視界が絶望的なバイパーの車形もあって、毎度「南無三!」と肚(はら)をくくる始末だ。日本で乗るぶんには右ハンであるに越したことはなく、わざわざハンドル位置をつくり分けるメーカーの取り組みには、ホントに頭が下がる。

ただ、だからといって「右ハンがない」というだけで、そのモデルやメーカー/インポーターの姿勢を否定する風潮には全面的に「NO」と申したい。そうした一側面だけを見てクルマを片っ端から否定していると、せっかくの豊かで楽しいマイカー選びがどんどん狭小でつまらないものになっていく。

それに、輸入車のローカライズで大事なのはハンドル位置だけではないハズ。例えば、インフォテインメントシステムなどの機能やインターフェイス。特定のブランドをおとしめたくはないので具体名を挙げるのは避けるが(気になる人はwebCGの試乗記を読み返してみてください。ちゃんと指摘しているライターさんはいます)、相応な高額商品なのに日本向けのまともなナビがなかったり、日本語表記や操作性が「?」だったり、なかにはささやかな不具合がそのまま放置されているものもあったりする。そうしたなかにあって、ドイツ系ほどの量販が見込めないブランドとしては、GMは日本仕様の製作に頑張ってきたほうだと思うのだ。

そうした例には目をつむり、「右ハンがない」という分かりやすい欠点(?)だけ拾って「GMは日本でクルマを売る気がない」と断ずるのは、いささか不公平だとワタクシは思うのです。

記者のマイカーである「ダッジ・バイパー」。ESGにツバを吐く、最低で最高なハイエミッション野郎である。
記者のマイカーである「ダッジ・バイパー」。ESGにツバを吐く、最低で最高なハイエミッション野郎である。拡大
「バイパー」の運転席まわり。左ハンドルのままなのに、右ハンの「コルベット」よりドラポジがゆがんでいるのはご愛敬(あいきょう)。
「バイパー」の運転席まわり。左ハンドルのままなのに、右ハンの「コルベット」よりドラポジがゆがんでいるのはご愛敬(あいきょう)。拡大
確かに、左ハンドルは日本市場において不便。こうした料金所では、係員&後続車の皆さまに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
確かに、左ハンドルは日本市場において不便。こうした料金所では、係員&後続車の皆さまに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。拡大
「ダッジ・バイパー」の、運転席からの右後側方の視界の図。左折しての大通り合流は、恐怖以外の何者でもない。
「ダッジ・バイパー」の、運転席からの右後側方の視界の図。左折しての大通り合流は、恐怖以外の何者でもない。拡大
2013年末の発表会より、「キャデラックCTS」に搭載されるインフォテインメントシステム「CUE」の画面。すでにちゃんと“日本語ナイズ”されているのが分かる。ちなみに、同じアメリカのフォードは最後までインフォテインメントシステムも音声入力システムも英語のままで、英検準2級の筆者はまともに操作できなかった……。
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